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第188話

 サク、サク、と夜闇に小さな足音が聞こえる。ヒバリは意図して足音を殺しているわけではないので聞こえるのは当たり前だが、問題はもう一つ、自分ではない足音が聞こえるということか。  今日は確認のために一人で件の店に行こうと思っていたのだが、この足音の主人が想像通りであれば、それは危険だろう。しかたなくヒバリは予定にない場所で曲がった。予想していなかったのだろう、足音が焦ったように追いかけてくる。なんの予兆も見せず振り返る。隠れる場所も余裕もない。予想通り、ヒバリの目の前にはビクリと肩を震わせる凪の姿があった。 「このような所でお会いするとは。何か急ぎの用事でもありましたか?」  わざとに微かな笑みを浮かべる。ヒバリとしては敵意など無いという意思表示に過ぎなかったが、凪には別のものに映ったのだろうか、顔をしかめていた。

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