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第269話 ※痛い表現あり
「あぁ、やっぱり……。この赤を見るのは、初めてだったか」
暴発の恐れもある銃ばかり置いてあると思えば、やっぱりかとヒバリは乾いた笑いをこぼした。そしてその艶やかだった唇からゴポリと赤い塊が吐き出される。彼の顎が、服が、床が真っ赤に染まって、それを見た男達はヒッ、と小さな悲鳴をあげた。
「そう、驚くこともない。だが、よーく見ろ。俺の心臓から、何が流れている? 子供を守ろうとしただけの彼から流れているものは何だ。今なら、この赤が見えるだろう」
ゴポリ、ゴポリと赤を溢しながらもヒバリは何でもないように言葉を紡ぐ。見ろ、目を逸らすなと。
「血が見えないから、勘違いをするんだ。自分達のしていることは軽いって。血を流していないだけで、やっていることはこの光景と何も変わらないというのに。だって、お前達は知っていたはずだ。あの部屋に充満していた霧が、彼や俺に飲ませていたモノが、兎都の者にとっては毒なのだと」
室内がずっと霧で覆われるように笑って機械に注いでいたモノが何であるのか。あの店に行くたび、酒に混ぜていたモノが何であるのか。知らないはずはない。
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