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第293話

「……それらのことは、ウォルメン閣下やヒバリ様が来られる前に把握しておられたと推察します。つまり、ヒバリ様に調査を依頼したのは、我々とヒバリ様の関係に確証を得るためだったと?」  サーミフにとって贋金は本題ではなかったのだと、ようやく凪も気がついた。 「贋金も充分に大事だ。しかし、国王の夫人とヒバリ殿が繋がっていてこのような事件を起こしたのであれば、この先もっと恐ろしいことが起こるだろう。そうなってからでは遅い」  サーミフも父もただの人ではない。このディーディアという国を預かる王族なのだ。例えどれほど愛おしくとも、たった一人の夫人と国民を秤にかけてはならない。 「だから贋金の証拠を得ていた殿下は我々とヒバリ様の確固たる関係を掴み、白日の元に晒そうとなさった、と」  そっと、凪は顔を伏せる。もしそうなれば、凪も母も命はない。国王の血をひくナイーマでさえ、どうなるかわからなかっただろう。 「相手はセランネの大貴族だ。公にするかは微妙なところだが、少なくとも王宮内部から危険人物は排除できる。――そう、思っていた」  サーミフがただの人ではないように、閣下もまた、ただの人ではない。そしてヒバリにだけ罪があったとしても、ディーディア人でない以上、彼を裁く権利など無い。だからサーミフは元々そんなことを望んではいなかった。  誰が敵で、誰がそうで無いのか。それを見極めたかった。否、見極めたかったわけではない。サーミフは自分の考えに確固たる証拠が欲しかったのだ。一部の隙もない、誰が見ても納得せざるを得ない証拠を。だが――、

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