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第295話

「国王即位の式典は良い口実となった。私がセランネに行くよりもよほど違和感なく閣下に接触できる。今にして思えば、閣下の方にも考えがあったのだろう。贋金の件をあちらから言い出したのが良い証拠だ」  あるいは、閣下なりのメッセージだったのかもしれない。それを素直に受け取るか否かは別問題だが。 「閣下がヒバリ殿をこの王宮に残すことに賛同するとは思っていなかった。正直、あの会話で何か掴めないかという程度にしか思っていなかったからな。だがあの瞬間に理解した。私が思っている以上に、閣下はヒバリ殿の意見を尊重していると」  滞在、捜査協力。それは耳触りの良い理由でしかない。実際は人質も同然であり、下手をすれば首が刎ねられるかもしれない。それをわからない閣下ではないだろうし、そんな危険な場所に大切なヒバリを残していくことなど無い。そうサーミフは思っていたし、実際に閣下はどうする? と問いかけたものの、その表情は難色を示していた。しかしヒバリが閣下の足を軽く叩いた瞬間に、それらは消えた。閣下は安心したわけではないのだろう。危険は何も変わらない状態で、しかしヒバリの意見を受け入れた。一言の否もなく。 「ならば、ヒバリ殿が独断で何か動いていたとしても閣下は止めはしないのかもしれない。それで、様子を見ることにした。これで全てとはいかずとも多くの謎は解けるのではと」  実際にヒバリが滞在することで凪にもツバキにも動きが見られた。サーミフの〝もしや〟を肯定する動きが。

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