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第318話

「残念ながら、解毒方法は知らない。必要であれば後で渡しても良いが、少なくとも私が見た限りでは資料のどこにもそういった記載はなかった。それに、私はそこまで解毒に重きを置かなかったから深く調べてはいない。なにせ、死ぬことがないからね。この身に薬の類は効かないんだよ」  毒であれ、解毒剤であれ。それはヒバリも同じこと。 「それに、死ぬことがないこの身では忘却は一種の救いだと思っていてね。思い出させようとも思わなかった」  訥々とそう言われ、サーミフはほんの小さく息をついた。それもそうだ、とサーミフでも思う。  今、サーミフが解毒薬を知りたいと、得たいと思うのは命に関わるかもしれないからだ。もしも相手が閣下やヒバリのように不老不死であったなら、解毒薬など探しもしなかったかもしれない。だが、そんなは存在しない。 「そうですね。では、お言葉に甘えて資料をお貸しいただけますか? ディーディアの方でも調べてみます」  お願いします、と頭を下げたサーミフに閣下はほんの少し瞳を揺らめかせ、そして苦笑した。 「君にとって安心材料になるかは知らないが、そう焦ることもないと思うよ。あれは確かに兎都の者にとって毒となるが、それを体内に入れた瞬間にどうこうなるものでもない。摂取し続ければ命は削られるだろうが、君たちは真相に気づいたんだ。これからの摂取を止めれば猶予は作られる。もちろん、体内に残る毒を消す方法があれば、それに越したことはないが」  悠長にしていたわけでは決してないが、ヒバリがこの毒のことをすぐにディーディアに報告しなかったのもそのためだ。不確定な要素をすべて取り除き、確実なる死を回避するために、わかっていて報告を先延ばしにした。そのことにサーミフも気づいて、渋々といった様子ではあるものの頷く。閣下は小さく苦笑を零した。

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