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第397話

 そんな凪の様子をジッと見つめて、医師は再び零れそうになるため息を呑みこむ。その時、小さなノック音が聞こえた。ピクリと凪が肩を振るわせる。宥めるように医師がその肩をそっと押さえた。 「私が見てきますから、あなたは食べていてください」  ポンポンと軽く肩を叩いて、医師は扉の方へと足を向ける。食べていろと言われたが、凪はジッとその背中を――扉を見つめていた。 「はい、どなたでしょう」  凪の視線を警戒しているのだろう、医師はほんの少しだけ扉を開けて隙間から外を見る。次の瞬間、彼は肩から力を抜いた。 「ああ、殿下でしたか。先程までこちらにいらっしゃったはずの方は?」  扉を大きく開けてサーミフを中へ促す。彼が入ったのを確認して、医師はパタンと扉を閉めた。ついでに鍵もしっかりと閉める。 「ナイーマは帰らせた。あれも一応、私の前ではあまり我儘を言わないからな」  サーミフは凪の主人ではあるが、ナイーマとはさほど親しくは無い。歳の差もあるし、ナイーマが生まれた頃にはすでに公務に携わっていたこともあって、同じ時を過ごすことはあまりなかったからだろう。ナイーマの中でサーミフは兄ではなく、遠い存在の王族なのだ。

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