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第449話

「ナギ、車椅子で運ぶのは難しいでしょう。ティーカートを押しましょうか?」  大丈夫、と小さく頷いた時、使用人の一人がそう声をかけてきた。確かに、どうあっても車椅子は両手で動かさないといけないのだから、トレーで運ぶにしても危険だ。基本的に何でも一人でやりたがる凪であるが、できないことを認められないわけでもない。ここは素直に頼ろうと頷けば、使用人の彼女は嬉しそうに微笑んだ。母ツバキと同じくらいだろう年頃の彼女は何かにつけ凪を気にかけてくれた存在で、サーミフの信頼も厚い。ちょうどよかったと、凪は車椅子を動かしながら彼女に視線を向けた。 「殿下はこの離宮にどれくらい滞在されるかとか、知っていますか? この件は、宮殿で悪く言われたりしていないでしょうか。その、陛下、とか」  王太子ではないとはいえ、サーミフは王妃の息子。それも国王が深く愛した女性の子であり、本人も優秀だ。国王は宮殿にいて欲しいと思っていることだろう。王太子殿下が味方についてくれているとはいえ、あまりに長い滞在は良い印象を抱かれない。それに凪にはひとつ気になることがあった。

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