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第452話

「この離宮は建てられた当初から許可のない者の出入りは禁止ですし、そもそも後宮ですらないので、ご令嬢方が勝手に押しかけるということはできません。殿下も許可はなさらないでしょう」  だからここにお妃候補が来ることはない。そう断言する彼女に凪は視線を彷徨わせた。 「理解はできました。でも……、それで良いのでしょうか。陛下は王太子殿下同様にサーミフ殿下を溺愛されていますから、殿下のお子が生まれないとなると、難色を示されるのでは?」  愛する妻の忘れ形見としても、優秀な王子としても、その後継を父たる国王は望むだろう。凪は長年サーミフの側にいたが、彼が特別に思う女性も、通ったり私的な贈り物をする女性もいなかった。そのうえお妃候補の女性達を遠ざけて離宮に籠ってしまっては国王の怒りに触れるのでは、と凪は顔を曇らせるが、彼女はその懸念をゆっくりと首を横に振ることで否定した。 「サーミフ殿下は王妃様がお亡くなりになってから女性を遠ざけておられます。近づけるのは私のような既婚者だけ。ですから陛下の本心は誰にもわかりませんが、一応サーミフ殿下に関しては妻を持たずとも、子を成せずとも、深く干渉はしないと明言されています」  王妃が亡くなってから。その言葉に凪は瞼を伏せた。  侍従長が語ったあの日は、やはりサーミフにとって深い傷となっているのだろう。確かに国王とて、それを咎めることはできない。例え一国の王であろうと、人の心を意のままに操ることはできないのだから。

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