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一つ

  こんちは。俺は辻 秀生(つじ しゅうせい)です。 今年で十九歳になり、大学行きながらバイト掛け持ちしてます。 正直言って大学とか面倒くさい。 でも俺には行くだけのメリットがあって、毎日欠かさず行ってますよ。 今日も今日とて、深夜までコンビニでバイトした俺は眠い目を擦りながら朝から教室に向かう。 教室を開けると、そこには友達と楽しく会話をしている幼なじみの新海 悠斗(しんかい はると)の姿が。 「あっ、秀生!オハヨー」 「ハヨー、悠斗。朝から何の話してんの?」 「んー?ソレがさぁ、実はお前の話なんだけどー」 悠斗は寝不足気味の俺に対して眩しいくらい満面な笑顔を向けて近寄って来る。 端から見たら、絡まれてるような図になるが俺は気にしない。 金髪でピアス五つ開けていようと、服を着崩していようと、喧嘩をしていようと俺には小さい頃から一緒に居る幼なじみに変わりない。 そもそも、悠斗がこんなチャラ男っぽくなったのにはちゃんと理由があった。 あれは中学生三年の頃。 二人でいつものように家に帰る途中で、チンピラに絡まれた時だ。 悠斗は今と違って内気で喧嘩すらまともに出来なかった。 髪だって目元近くまで黒髪が伸びていたし、コンタクトじゃなく眼鏡をしていた。 だからって訳じゃないのに悠斗は自分のせいで絡まれたんだと俺に謝ってきた。 チンピラはカツアゲをしてきて悠斗は事を大きくしないようにと財布を出そうとして、俺はその時無性に腹が立ったのだ。 その手を止めて、渡さなくていいと俺が悠斗に言うとチンピラはチンピラで怒ったのか俺に殴り掛かってきた。 だから俺も殴り返して返り討ちにしてやったけど、それでも悠斗は俺に謝ってて……だからつい言ったんだ。 『謝るくらいならもっと強くなれよっ!』 で、高校に上がってから悠斗は不良のような格好をし始めて今では喧嘩もそこそこ強くなったって訳だ。 自分が言った一言で、悠斗は強くなろうとしている。 俺は今更止めようとは思わないが、無茶はしてほしくないと思っている。

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