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五つ 最終回

  後頭部の髪をグシャグシャとする悠斗は、いつも以上に柔らかい表情になっていて俺は何が何だか分からずに頭にハテナマークが浮かぶ。 「…えっいや、どういう事?」 「だからさ……好きなんだよ。秀生の事が」 一瞬頭の中が真っ白になった。 「はっえ、えぇ!?」 「っそんな驚くなよ!」 「いや、だって…えっ?悠斗が俺を??」 あまりに信じられないとばかりに俺は動揺しまくっていて、頭はパニック状態で訳が分からなくなっていた。 ドッキリなんじゃないかとか、からかわれてるだけなんじゃないかとか考えていると急に視界が影に覆われたのに気付いて悠斗の方に振り向くと一瞬にして顔がドアップになる。 同時に唇に何か触れた感触があって、悠斗からキスをされたのだと数秒後に気付いた。 「これで分かった?オレが秀生の事好きだって」 「…えっ、あ、はい…」 「で、秀生は?」 何だろう。なんか今日の悠斗は超男前に見える。 俺より堂々としてるし。 昔の悠斗とは別人のようだと思った。 ……いや、微かに手が震えてる。きっと内心では不安に思ってるんだ。 俺はやっと自分の気持ちに向き合える気がした。 「俺も好きだよ。悠斗の事が大好きなんだっ」 ずっと仕舞い込んでいた気持ちは言葉と流れる涙と共に溢れてくる。 ギュッと悠斗を抱き締めて、何度も何度も繰り返した。 好きで好きで堪らなく好きで。 それは悠斗も同じなんだと分かると、俺達は確かめるように軽いキスをした。 見つめ合ってまたキスをして、それが可笑しかったのか二人して笑った。 「…好きだ」 「さっきも聞いたって」 溢れて止まらない気持ちは、やっと悠斗に届けられた。 それが嬉しくて、これからも悠斗の側に居られると分かって俺はきっと今情けない顔をしてるかもしれない。 それでも構わなった。悠斗の側に居られるなら。 「これからも宜しくな、悠斗」 「おー、嫌って言われても離れネェよ」 「俺も離さねーよ」 やっとやっと、俺の本当に欲しい者が今この腕の中に居る。 今日の日は、一生忘れる事はない。

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