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第156話 ※
カイゼルと共に私室に戻ったノアリスは、隣に座ったロルフを撫でながら、エメラルドグリーンを見つめる。
「お話、したいことが」
「ああ、なんでも聞く」
不安で手が震えるのを、ロルフを撫でることで必死に隠している。
しかし、カイゼルには丸わかりだ。それでも指摘せず、好きなように、話しやすいように、何も言わずに待った。
「……やはり、王妃には、なれません」
「……」
「子供を、産み、時期王を育てるその方こそ、王妃でなくてはならないと、思うのです」
「……ノアリス」
「っ、ですから、私は……」
言葉を区切り、一度飲み込んだノアリスは、震える声を隠すこともせずに続けた。
「貴方様との、子を、望みます」
「っ! な、んと……」
「あの、異形の生き物は、濃い血が交わったことで、できたというので、あれば……私とカイゼル様となら、人として、生まれるのでは……っ?」
「しかし……ノアリス、卵だ。わかるだろう。その可能性はあるかもしれないが、そなたを長年苦しめた卵を、また産まなくてはならないんだぞ」
わかっている。だから、本当は怖くてたまらない。しかしひとり寂しく冷たい塔で痛みを堪えて産むわけではない。無理矢理産まされるわけでもない。
「カイゼル様となら、暖かいこの場所なら、きっと、耐えてみせます」
「っ……」
「先程のように、私と、貴方様と、イリエントに、ブラッドリー……それから、ロルフと、皆で……何ひとつ壁のない空間で、私も……笑っていたい」
気後れすることなく、ただのお飾ではなく、そうして生きていきたい。
ノアリスは震える手をカイゼルに伸ばし、その胸に触れた。
「私の我が儘を、聞き入れてくださいますか……?」
エメラルドグリーンが揺れる。
腰に添えられた手が、僅かに震えているのがわかった。
しかし拒絶されることはない。
そっと顔を近づけ、本の数ミリ、あと少しで唇が触れるそこで止まったノアリス。
その隙間を埋めたのは、カイゼルだった。
激しい口付けが降ってくる。
全てが溶かされるような、心地のいい、気持ちよさ。
呼吸が奪われるほど激しいのに、これを望んでいたから、苦しささえ愛おしかった。
空気を読んだロルフが部屋から出ていこうとする。
カイゼルは仕事のことなんかそっちのけで、大声でコンラッドを呼ぶとあの時のように香油を持って来させ、ロルフを彼に預けた。
ノアリスはまさか今から始まるとは思っていなかったのだが、しかしそれでも彼が求めてくれたのが嬉しい。
ベッドに移り、優しい手つきで衣が剥がされていく。
真っ白の肌に滑る日焼けた手。恥ずかしさと擽ったさに小さく笑ったノアリスに、カイゼルも同じように笑う。
「今日は、前回と違って、少し余裕があるな」
「よ、余裕は、ありません……恥ずかしい……けど、嬉しさが、勝っていて」
「そうなのか」
「苦しかったことが全て、終わったから……」
太腿を撫でられ、ビクッと震える。
「脚を開いて」
「っ、は、はい……」
ゆっくりと開いた脚の間に腰を入れた彼は、痛みのないように香油を中に注ぎながら、まだ反応を示さないノアリスの熱を優しく扱いた。
「んんっ、ぅ……」
「少しでも痛みがあれば、すぐに教えてくれ」
「っ、はい……」
胸に吸い付かれ、胸元には幾つもの赤い印が広がっている。
恥ずかしさから手で隠そうとすれば、その手を掴まれ、そのまま手首にも赤い華が咲いた。
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