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第1話

今年初めての雪の花が舞う日だった。僕が彼と初めて出会ったのは。 空を見上げ誰かと話しをしていた。雪のように儚げで今にも消えてしまいそうで。僕が彼を守ってあげないと、寂しそうなそのうしろ姿を見たとき自然とそう思ったんだ。 「飢饉と度重なる地震からこのクレイグ王国を守るために異界から聖女さまを召喚しましたが」 「無能で不要なおまけがついてきたか」 「左様です」 「のちのち騒ぎを起こされてはまずい。地下牢にでも閉じ込めておけ」 「父上。兄上、男だから、聖女ではないから、無能で不要だから幽閉するのはあまりにも酷いです」 「子どもの癖に政に口を出すな。あやつは100年前に我が国を滅亡寸前まで追い詰めたヘルマプロディトス《両性具有》の生まれ変わりだぞ」 「子どもではありません。春になれば十五歳になります。もう大人です」 彼は異界の服を着ていた。不敬罪の濡れ衣を着せられ、手枷と足枷を嵌められ、裸足で市中を引き回されて見世物になっていた。 まったく知らない世界に突然飛連れてこられて、いらないからと突然捕まり罪人に仕立てられた。絶望、怒り、哀しみ、不安。生きる術を奪われ生きた屍のように連れ回されていると思ったけれど彼は悲観することなくただまっすぐに前を向いていた。 吸い込まれるように澄んだ漆黒の瞳。さらさらの栗色の髪。凛とした佇まい。思わず見惚れてしまうくらいきれいな人だった。 八歳も年上の人。私が彼を守ってあげないと。 一目惚れだった。

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