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第17話

「実はサクに結婚を申し込む数日前、クレイグ王国の使者が父上に謁見の許可も取らず大勢で押し掛けてきたんだ。慈悲深い我が国の聖女さまが敵も味方も関係ないとアル殿下に命じ、遠隔で聖なる力を送り大勢の乗客を助けたのにいまだに礼の一つもない、無礼極まる。誠意を見せろと。父上も兄上も呆れてものが言えなかった。スフォルたちも怒りを通り越して呆れていた」 「そんなことがあったとは知りませんでした。ご無礼をお許し下さい」 「サクが謝ることではない」 「スフォルさんたちにも申し訳ないことしました」 「彼らは気にしていない。心配なら直接聞いたらいい。アル殿下、顔が怖いですよ」 「サクをどこまで愚弄すれば気が済むのだ」 「対価を求めず、領民と子供たちにさま付けで呼ばれ慕われるサクが妬ましいのだろう。食料と資金援助を断れ、結納金に目をつけたのだろう。なんとも浅はかな。話しはこのくらいにしてそろそろ寝ようか。続きはまた明日にでも……」 大きな欠伸をするセドさま。アルさまも欠伸がうつったのか、ふぁ~と欠伸をした。 最初はセドさまに抱き締められているからどきどきするんだと思ったけど、アルさまにも抱き締められているからどきどきするだと気づいてしまった。今までこんなふうにどきどきしたことがなかったのに。意識しないようにすればするほど意識してしまって。寝れなくなってしまった。

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