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第16話
「姉より二日遅く転生した僕はその日のうち捕まって牢屋に入れられたんです。姉が犯した罪が全部僕がやったようになっていて、人を騙してお金を巻き上げていた、仕事先に押し掛けてきて刃物で姉を刺したことになっていた。虚言癖があるから信用するなと姉が先に根回していたからか、アルさまとユフとセバスチャンさん以外の人は、僕が何を言っても誰も信じてくれなかった」
「俺はサクを信じるよ。何で神様は俺のところにサクを寄越してくれなかったのかな?アル殿下より早くサクに会いたかった。俺よりヤバイよ、彼の方が」
「何がですか?」
「そのうち分かるよ」
そっと背中を抱き締められた。
なにげに視線を感じて顔を上げるとアルさまと目があった。
「聞き捨てならないな」
「本当のことだろ?狸寝入りだということは最初から分かっていた。サクを信じてくれてありがとう。奴隷として売られたサクを助けてありがとう。きみは分かっていたみたいだね」
「先代聖女さまが亡くなる寸前、次の聖女はヘルマプロディトスと仰っていた。でもヘルマプロディトスは国に災禍を招く存在。だから先代聖女さまの遺言はなかったことになってしまったのです」
「そうか。なるほどな」
セドさまが深くため息をついた。
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