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第15話

「決してスフォルさまたちを疑う訳ではないのですが、スフォルさまたちがおっしゃっていたことは本当なんですか?」 「あぁ、王宮にひそかに送り込んだ密偵からの情報だ。間違いない。アル殿下とサクが首都のペレイを去ったのち、雨が一滴も降らなくなりやがて水の都と謳われた美しい川も干上がってしまい作物もとれなくなった。砂漠も死の森も年々広がっている。北の砦はまさに陸の孤島だ。きみのお姉さん、ミ―ナのことを教えてくれないか?」 「姉の事ですか?」 「あぁ。話したくないなら無理強いはしない」 「両親が離婚して姉は母に引き取られて、僕は施設で育ったんです」 「施設というのは?」 「教会にある孤児院みたいなところです」 「そうだったんだ」 セドさまは僕の身の上話しを黙って聞いてくれた。 召喚される数時間前のことだった。二人の警察官が僕のアルバイト先を訪ねてきたのは。二歳年上の姉の美那は整形しすっかり顔が変わってしまっていた。きれいになっていてすっかり垢抜けていた。華奢な体のラインを強調するような服を着ていた。 姉は遊び仲間の男性たちと美人局をして被害男性から大金を巻き上げて指名手配されていた。 警察官が帰った直後姉たちが押し掛けてきて金を出せと脅されて抵抗したら姉にお腹を刺された。そのまま意識を失い、目が覚めたらこの世界に転生していた。

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