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第14話

ここに来たばかりの頃は僕にしがみついて寝ていたアルさま。1年で身長がぐんぐん伸びて並んだと思ったらあっという間に抜かされた。王宮にいたときは食が細くすぐに体調を崩すアルさまにユフたちお付きのものが心配していた。 それがここに来てからは、ご飯をもりもり食べようになり、パトロールを兼ねて町に出たり、森を馬で走ったりとアクティブな生活を続けるうち自然と体力がつき体調も崩さなくなった。 痩せっぽっちだったアルさま。すっかり逞しくなり、僕は今、すっぽりとアルさまの腕の中におさまっている。 すやすやと規則正しい寝息を立てて熟睡している寝顔はとても穏やかで、怖い夢にうなされることも少なくなったのかもしれない。 ガタンとドアが開く音がして、 「スフォルさん?ゼオリクさん?」 二人の名前を口にすると、 「俺だ、サク」 その声は間違いなくセドさまのものだったから驚いた。 「動けないんだろ?寝てていいぞ。たまたま偶然国境のパトロールをしていたら、スフォルから結納金の話しを聞いて、心配になって来てみた」 「アルさまが、結納金は頂いていませんと一文だけ書いて使者に渡しました」 「結納金は本来結婚するときに帝国から支払われるものだろ?俺たちの結婚は二年先だ」 「情報が正しく伝わっていないかもしれません」 「そうかもな」 セドさまがベットに潜り込んできたからさらに驚いた。僕の背中にぺたりと体をつけた。 「夫婦になるんだろ?今のうちから慣れておかないと」 「それは、そうなんですけど……」 いくらベットが大きいとはいえ、大の大人が三人一緒に寝たらさすがに狭い。ぎゅうぎゅうだ。

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