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第19話
「アルドリック殿下とサクを歓迎してくれた領民たちに挨拶がまだだったから俺が一緒に行けば問題なかろう」
「大有りです」
「何故だ?」
「アルドリック殿下をご覧ください」
スフォルさんに言われてアルさまをチラッと見るセドさま。書類の山に囲まれ憮然とした表情を浮かべていた。
「ちゃんとアルドリック殿下も連れていきます。三人で仲良くお茶をしましょう」
「終わるまで待って欲しい」
「パン屋が閉まるまでには終わらせてくださいよ」
「言われなくても分かっています。これでも急いでます」
せっせと書類に目を通すアルさま。
「領民に常に寄り添い、真面目で仕事熱心な王子さまだ。若いのに立派に領地を納めている。たいしたものだ。誰かさんとは大違いだ」
「褒めてもサクは渡しませんよ」
「今は俺の妻だがな」
「いずれは私の妻になります」
二人のやりとりを黙って聞いていたスフォルさんとゼオリクさん。
「なにも二人でサクさまを幸せにすればいいでしょう」
「喧嘩をするだけ時間の無駄です」
まさか中でそんな会話がされているとは知らない僕は、ノックしてから執務室に入ろうとしたけど、ユフに今は止めた方がいいと止められた。
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