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第37話
「そういう貴方こそ一体何者なんですか?本当に王室警備隊の隊長なんですか?」
「信じてもらえないが残念だが事実だ」
「俺は……」
ユフが言葉を濁した。
「クレイグ王国陛下には双子の兄がいた。落馬し打ち所が悪く翌日にはお亡くなりになられた」
「違う。殺されたんだ。陛下とあの女に……」
ユフが唇を噛み締め、声を震わせた。
「ジュリアンさま、私のほうから説明させていただきます」
セバスチャンさんが紅茶と軽食が乗ったワゴンをゆっくりと押してきた。
「セバスチャンだめだ」
ユフが慌てて止めた。
「ユフ、もう隠す必要はない」
セバスチャンさんが紅茶のおかわりをジュリアンさんの前に静かに置いた。
「もうお調べになられたのでしょう。ユフの本当の名前はレオリックです。ユフはわずか五歳で父親を奪われ王宮から追放されました。殺せと命令された追っ手に追われていたところを助けたのが市井で暮らしていたアルドリック殿下さまです。私の亡くなった妻はアルドリック殿下の乳母でした。その日からユフは私と妻の息子になりました」
「産まれてすぐに母親を病気で失ったと聞いたが、毒殺されたのだろう」
「はい、おっしゃる通りです。すべてはイゾルデ王妃の差し金です。王妃の妹のイザベラが、ユフの父マリウス殿下に一方的に想いを寄せ、邪魔になったユフの母親を殺して後添いとして迎えたのがすべての不幸の始まりです」
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