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第39話

「帝国は跡目争いで内乱が起き滅亡寸前にまで追い込まれたことがある。その後法改正し、男子でも女子でも最初に産まれた子が皇太子になると決めた。皇帝陛下や先代の皇帝陛下は王妃を一人しか娶らずごく自然に一夫一妻になった。力のある貴族や豪商はいまだに多妻ではあるが」 「跡目争いなど無益な争いは国を弱体化させますし、王室に対する求心力の低下にも繋がります。王が贅沢できるのもすべて領民があってのこと。領民が税金を納めているから国が成り立つのです。守るべきは領民の安定した生活です」 「きみには王になる素質があるのに。非常にもったいない」 「王になどなりたくありませんし、興味もありません。レオリックは父と一緒に死んだんです。それでいいんです」 ユフがはっきり答えた。 「セドリック殿下がなぜきみを気に入っているのかその理由がやっと分かったよ」 ジュリアンさんの表情が和らいだ。 「義兄上(あにうえ)」 スフィルさんとゼオリクさんが、偵察から連絡がありました。レオリック子爵が町に到着しましたと報告しにきた。 「配置につきましょうか。セバスチャンさん何分《なにぶん》にも新人なのでお手柔らかにお願いしますね」 ジュリアンさんはセバスチャンの甥で家令の見習い中という設定だ。

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