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第79話
「ちょっとだけサクを借りるよ。サク少しいいかな?」
陛下のあとについてバルコニーに移動した。
「私のこともお義父さんで呼んで欲しい。もう家族なのだから」
「はい。分かりました」
「セドからきみの話しを聞いた。生い立ちや聖女だったミ―ナさんとのこと。妻は泣いて聞いていた。妻と息子たちとよく話し合って、きみをセドの嫁でなく私たちの娘として、家族として迎えてあげようと決めたんだよ。グラシオ卿のこともね」
「一夫一妻なのにすみません……」
「実はね一年ほど前に皇子を聖女に嫁がせればこの国はますます栄えるだろうという神託がおりたんだよ。当時の王太子の婚約者であったミ―ナさんの評判の悪さは聞いていたからね。どうしたものかと悩んでいたらセドが聖女はもう一人いると言い出して、それがきみだった。きみのお陰でエリオットも生涯の伴侶と巡り会うことができた。息子をこれからも宜しく頼むよ」
にっこりと微笑みと右手を差し出された。
「はい」
アルさまに助けられたあの日からこの世界で生きると決めたからもう僕には迷いはなかった。陛下の……お義父さんの手を取ると嬉しそうに破顔して握手をしてくれた。
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