「マリウス、好きだ、好きなんだ……。あなたがどうしようもなく可愛い……。強くて立派なあなたが、なのに情けなくて怖がりのあなたが……」 　エミーユは目に涙を浮かべて、つっかえつっかえ言う。 　さらにマリウスを煽り立てることに、エミーユは自分のシャツを脱ぎ始めた。 　マリウスはズボンが破れそうなくらい下腹部が膨らみ、脱ぎ去りたくてたまらなかったが、エミーユが膝から降りてズボンを脱ぎ始めたために、それを見逃さまいとこらえた。 　エミーユは焦らすように腰を揺り動かしてズボンを脱いだ。足首から抜き去ると、ベッドわきの椅子に掛ける。 　エミーユからたまらないほどの妖人の性臭が立ち上っている。 　マリウスの目が興奮でちかちかと明滅する。 　全裸になったエミーユは恥ずかしそうな顔で、マリウスの前に立った。マリウスの手を取り、自分のうなじに当てる。 「マリウス、ここにあなたの印を、私があなたの番であるという印をつけてくれ」 「う、うん、わ、わかった」 　マリウスは立ち上がると、ズボンを一気に下ろした。慌てるために、やはり、ビリリッと、ところどころ裂ける音を立てたズボンを床にかなぐり捨てる。 　すぐにでもエミーユをベッドに押し倒したいマリウスをエミーユはとどめた。マリウスの前にひざまずくと、傷痕にキスをし始めた。 　そのキスには感謝に愛おしみがこもっているも、ひどくみだらに感じる。 　エミーユの顔は下がり、マリウスのすでに鉄のように硬くなった怒張にキスは届く。 「あ、エ、エミ……、だめ……」 　マリウスが腰を引くもエミーユはやめない。エミーユは愛おしそうに頬に当てたり先を舐めたりしてくる。 「マリウス……、好き……」 　そう言いながら、漏れ出てきた精液までもを愛おしそうに舐めるので、マリウスは何度も悩殺される。 　そろそろエミーユも欲しくてたまらなくなってきたのか、顔をあげると、マリウスにしなだれかかってきた。 　エミーユを抱き上げるとベッドにそっと横にした。 　もうマリウスはエミーユの体のことを知りぬいている。 　ベッドに横になり背後から抱きしめて、エミーユの胸の両の突起を片手のひらでゆるゆると転がしながら、もう片手で、すぼまりに指を当てる。そこはしとどに濡れそぼっている。 　くるりとひだを撫でるだけで、エミーユは声を上げた。 「ひあっ……」 　指を埋めるとその部分をとんとんと突く。 「ふ、あっ」 （エミーユ、何て可愛い声……） 「こ、ここがいいの？」 「あっ、あっ」 　マリウスはそのままうなじにキスをした。 　そこに噛むのだと思えば高揚してしようがなかった。 　マリウスはエミーユの体を反転させた。 「俺を見て、感じている顔を見せて」 　エミーユは逆に隠すように腕で顔を覆ってしまった。そうなるのはマリウスにはわかっている。 　視界を塞いでおいて、マリウスはエミーユを鑑賞する。 　エミーユの肌はなまめかしくしっとりとしており、エミーユの胸の突起は赤く色づいている。色づいたそれを口に含んで、ねっとりとねぶる。 「ああっ、ふぁっ……」 　エミーユは求めるようにマリウスの首に手を回してきた。それを受けてマリウスはエミーユから指を抜いた。エミーユに口づけする。たっぷりと口づけして唇を離すと、またもやエミーユを反転させて、背後からエミーユに突き立てた。 「はあ――――ッ」　 　エミーユは体をよじらせて快楽を受け止めている。 　マリウスはエミーユのうなじに口づけた。 「うっ、く………、すごい、エミーユの中、すごく良いよ」 「マリ、ああ……」 「エミーユ……、俺とつがいになって」 「あっ、ひぁっ……うん………、あなたの、つがいに、なり、たい……」 　エミーユの声はそれ以上、意味をなさなくなった。 　マリウスはエミーユを追い込み、絶頂の高みへと連れて行く。 　その高みでマリウスもまた、絶頂にいた。 「うぅっ……」 「あっ、はぁっ……」 　マリウスはエミーユのうなじを噛んだ。 「ひぁ、アァ――――――ッ」 　快楽に身を震わせるエミーユをマリウスはぎゅっと抱きしめた。 　自身の精をその胎内に吐き出した。 「マリウス……、わたしの、マリウス……」 　エミーユはマリウスの手を愛おしそうに撫で、手の甲に唇を寄せた。 　二人はそうして、唯一無二となった。