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プロローグ
深い深い、山の奥。人間が足を踏み入れることなどできないような奥地に、その民族は小さな里を作り、ひっそりと暮らしている。
人間よりも耳は長く尖り、白磁のような肌をした、見目麗しい一族。
人は彼らのことを『エルフ』と呼ぶ。
ある年、エルフ族を治める族長の嫁が身籠った。里は大いに沸き立った。
エルフは長命ではあるが、身籠りにくいという体質を持っている。族長も若くして結婚したものの、数百年に渡って子宝に恵まれなかった。
その族長の元に訪れた懐妊の吉報。狩りから戻って来た族長は涙を流しながら喜び、妻を抱き締めながら褒め讃えた。
それからというもの、生まれ出でるまでの十月十日、腹の子は大切にされてきた。
妻が陣痛に襲われたのは、満月の綺麗な夜のこと。朝方近くまでかかった出産。
生まれてきた子供に一族は驚きを隠せなかった。
生まれてきたのは玉のように可愛らしい男の子。
それが二人。
双子は凶兆。災いをもたらす者。
しかし、族長も妻も、そんなことは一切気には留めなかった。
何百年も待ってようやく授かった愛おしい我が子。
しかも、それが二人もいたのだから。
美麗エルフは鬼畜極道に堕つ
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