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第3章:夏祭り 第3話
境内の更に奥、土蔵の近くまでやって来た。祭りの喧騒は少し落ち着くが、それでも聞こえてはくる。そして、緑豊かな境内に住まう虫たちの鳴き声。
「本当に、こんな所で……する、んですか?」
「当たり前だろ。そうでもなきゃ、こんな辛気臭ぇとこ、誰が来るかよ」
相変わらず鷹臣は煙草をくゆらせている。くしくも今日は満月であり、月光に照らされている様は出会ったばかりの頃を思い起こさせる。
「おら、そこ手ぇ突いてケツ出せよ」
顎で示された場所は土蔵の壁。気が乗らないまま、緩慢な動作で鷹臣へと背を向ける。どうせ命じられて恥ずかしい思いをするくらいならと、自分から浴衣の裾をまくった。せっかく結月が綺麗に着付けてくれたというのに申し訳ない。後で自分でも直せるだろうかと心配になる。
言われる前に下着を脱ぎ、尻が見えるように鷹臣へと突き出す。
「お願いします、手早く終えてください」
「それはお前の頑張り次第だろ」
首だけで振り向いた視線の先では、鷹臣が高価そうな二つ折りの皮財布の中から約五センチ四方の薄い銀色をした個包装の口を開けていた。さすがにゴムをつけてくれるのだろうと内心安堵したが、その中から出てきたのが期待していた物ではなかったため、ギョッと目を剥いた。
「ちょっと、何でそんな物持ってるんですか!?」
「これねぇとお前入んねーだろが」
「そ、それはそうですけどぉ……」
個包装の中から出た透明な粘液が鷹臣の指を濡らしている。抱かれ慣れてきた体には毎夜使われている物だ。寝室で使う際にはボトルに入っているため、こんな風に持ち歩きのできるサイズのものがあるとは知らなかったが。
「んっ」
ローションを纏った指が一本、後孔の中へと挿入って来る。男の太さと言えど、指一本程度であれば何の躊躇いもなく直腸は受け入れた。
むしろ、この後に訪れるであろう刺激を期待してキュウと疼いてしまう。
「んっ、……んっ……」
鷹臣の指は浅い場所を注挿させながら徐々に奥へと向けて挿し込んでくる。途中、前立腺付近でいたずらにしこりを指先でかき回され、快感に腰をくねらせた。
一本などでは到底足りない。直腸を隙間なく埋め、ゴリゴリとした凹凸の刺激がなければ、満足なんてできない。鷹臣の中指はあっという間に指の根本までセイルの中に挿入り込んだ。結腸が疼く。早くここまで到達しないのかと不満でいっぱいだ。異物をもっと感じ取りたくて直腸が指を締め付けた。
脳が混乱してしまいそうだ。どうして中にいるのに、いつもの激しい快感をくれるモノではないのだろう。奥まで突いて、かき回してくれる熱棒ではないのだろう。こんなのではないはずだと不満を募らせている。
「早く……もっと……」
堪らず、強請る言葉が出てしまう。言ってしまってからハッとした。
これは違う。さっさと終わらせてほしいだけ。顔を赤らめながら心の中で自分自身に言い訳する。
「こんなんじゃ足りねぇってか? やっぱり随分淫乱になったもんだな。俺一人くらいじゃ満足なんてできなくなってんじゃねぇのか?」
この言葉には即刻ブンブンと首を横に振った。そんなはずがない。期待に疼く直腸は、鷹臣の独特のフォルムをした凶悪なイチモツしか知らないし、それ以外なんて受け入れる気すら起きない。
むしろ、考えただけで虫唾が走る。
「鷹臣さんだけ、です。ここに、挿れて良いのは……」
鷹臣の指を咥え込んだまま尻を振る。他の男など冗談じゃない。エルフは元来、一人だけを生涯愛する者が多い。繋がる相手は本来であれば一人のみなのだ。訳あって鷹臣を受け入れてはいるが、これはただのイレギュラー。だから、これ以上増やされるなんて堪らない。
「男心をくすぐるのが上手い奴だな。良いぜ? その挑発、乗ってやるよ」
「んああっ!」
一気に指が三本に増える。しかも、動かすスピードまでもが速められる。
「ああっ! あっ、ああっ!」
三倍に増した刺激に翻弄されながら、土蔵の壁に突いた指先を立てた。太さの増した注挿は快感も倍増する。時折、思いついたように気まぐれに指を中でバラバラに動かされ、それすらも気持ちが良くて涙を零す。
入口付近ばかりを刺激され、更におもしろくないのは直腸の奥だ。早く突かれたいとウズウズしている。
腹の奥が熱く疼いて堪らない。
「おく……もっと、ほしい、です……」
「あ? もっと分かりやすく言えよ」
ピタリと指の注挿を止められた。それまで与えられていた刺激すらなくなり、戸惑ってしまう。
「あの……もっと……」
「もっと何だよ」
苛立たし気な声に身が竦む。聞こえてくる楽しそうな声がこの淫靡な行為とそう離れていない場所で行われているとは思えない程の温度差がある。
キュウゥと括約筋で三本の指を締め付けた。
分かっている。分かってはいるのに、あと一歩の壁が越えられない。
理性という名の、大切な壁を。
「欲しいんだろ? この奥に。テメェみたいな淫乱が指程度で満足できるはずがねぇんだよ」
「ひあっ!」
指を入れられたまま、下腹を撫でられた。
ゆっくりと腹の上をまさぐる大きく硬い掌。臍の下付近で円を描くように何度も行き来している。
ポロポロと涙を零す。快楽を知ってしまった体の限界が訪れていた。
「ください……たかおみさんの……」
「俺の何だ?」
下唇を噛む。男なのに、同性の象徴を欲しがるなんて浅ましいにも程がある。
しかし、言わなければ与えてはもらえない。彼のドSぶりは今に始まったことではない。
「…………………たかおみさんの、性器……」
しばらくの沈黙の後、諦めてその言葉を口にした。言った途端、恥ずかしさで全身が真っ赤に染まる。
しかし、これでやっと入れてもらえる。さっさと終わらせてこんな痴態、なかったことにしたい。
それなのに、鷹臣は一向に望みを叶えてはくれなかった。それどころか、中に挿入したままの指もそのまま動かしてさえくれない。
どうしたのかと振り返れば、納得しているとは思えないような微妙な顔をした鷹臣が首を傾げていた。
「ちげぇんだよな。そんなんじゃあ観てる奴は勃たねーだろ」
「観てる人……?」
「いずれ俺に飽きられたら、お前裏ビか風呂屋行きだろ? そうしたら、そんな生半可なねだり言葉なんかじゃ客はつかねぇ。お前は顔が良いから、それなりには客もつくだろうが、美人は三日で飽きるってよく言うからな。もっとその顔に似合わねぇような下種な媚び方の方がギャップで喜ばれんだよ」
「そんな……」
鷹臣の言葉に愕然とする。確かに、飽きれば夜職だとはこれまでに何度も言い聞かせられてはきたし、性的奉仕の仕方も教えられてきた。
だが、鷹臣とはこの二か月程で少しずつではあるが心が通い始めていると思うこともあった。だから、鷹臣の口からそんな言葉を聞きたくなんかなかったし、言わせたくなかった。
「嫌です……そんなの……私、鷹臣さん以外の人となんて……」
「じゃあ、俺の言うことは絶対だろ?」
泣きながら頷いた。
こんなに鷹臣だけに尽くす生活をしているというのに、どうしてそんな酷いことを言うのだろう。まだ彼には認めてもらえていないのだろうか。少しだけ悲しくなる。
まだ何が足りないのだろう。言ってくれれば改善するのに。
「お前の残念なオツムでもよく覚えとけよ? お前がこれから強請る時に言うのは、ちんぽとケツまんこだ。そう言っとけば、大抵の野郎は喜ぶだろ」
顎を取られ、鷹臣の方を向いて固定させられる。見下したような視線はセイルをみじめな気持ちにさせた。
ケツまんこなんて言葉、当然使ったことはない。意味としては後孔のことを指しているのだろうが、本来であればそこは出す場所であり、女性器のように挿入に使う場所ではないのだから。
受け入れさせられることを前提とした扱いに心が抉られる。
しかし、それを鷹臣が望むのであれば、拒否権などは存在しない。
「鷹臣さんのおちんぽ、私の……け、ケツ、まんこに……挿れて下さい……」
「挿れてどうされたいんだよ」
「ど、どうって……」
更に追及されるなんて思ってもいなかった。頭の中はパニック状態だ。入れたら後は鷹臣が好きに動いてイかせてくれる。互いにイけばそれで終わりの行為だろう。
もちろん、絶倫の鷹臣は一度で終わるような淡泊ではないが。
「い、いれて……それで……」
そこまで言って言葉が止まってしまった。セイルの頭の中の記憶容量には、それ以上の言葉は詰まっていない。むしろ、ここまで言っただけでも自分の中では充分過ぎる程に努力した方だ。
「んううっ!」
止まっていた鷹臣の指の動きが再開される。直前までされていたように早急な注挿をされ、一気に腹の中が剛直を受け入れるための期待で満ちる。
「俺の極太ちんぽで腹の中ぶち破るくらい犯されたいんだろ!? お前いつもそうだろうが。アンアン強請って股開いて。ザーメン、腹の奥でタプタプになるくらいぶっかけられたいんだろ!?」
コクコクと何度も首肯する。酷い言われようだが、そういう言葉を鷹臣が望んでいるというのなら仕方がない。
「私のケツまんこ、鷹臣さんの極太ちんぽでぐちゃぐちゃにしてください……ッ!」
「やればできんじゃねーか」
「ひぁっ!」
勢い良く指が引き抜かれた。指三本分の隙間が後孔に空く。
腹の中が寂しい。括約筋はクパクパと次の侵入者を待ちわびる。
「極太ちんぽ……はやく……私の中、かき回してください……」
「そこまで言われちゃ仕方ねぇよな」
鷹臣が下肢を寛げる。いつの間にか鷹臣の屹立は天を向いていた。ダラダラと零れる先走りが月明かりを受けて光っている。性器側面の凹凸が竿に影を作る。酷く淫猥な光景だった。
「んっ」
先端が括約筋に当てられたかと思うと、ズブズブと何の遠慮もなしに挿入り込んでくる。
「ああぁ……ッ」
やっと待ち望んだ極太性器に淫らな体が悦んでいた。凹凸が直腸の襞を潰すように奥へと向けて進んでいく。その刺激は指とは比べ物にならない。
そして、前立腺付近を通る度に軽くイってしまいそうな程の快感が体中を駆け巡った。鷹臣の性器に施された真珠の数は十を超える。長い性器の側面にいくつも浮いた凹凸が前立腺を擦りながら挿入される刺激で腰をくねらせた。
性器の先端が結腸に辿り着く頃には、甘イキを三度ばかり繰り返していた。セイルの先端からも先走りが零れ、地面に落ちる。
「おら、ここまでで良いのか? もっと奥が良いのか?」
ユルユルと腰を回されながら問いかけられる。そんなの、答えは一つしか持ち合わせていない。
「奥……もっと……けっちょ、奥も……いっぱい突いてくださいぃ!」
「この強欲野郎が。こんなスケベ面晒して、男誘ってんじゃねぇよ!」
「ふぁああっ!!」
一気に最奥まで貫かれた。その刺激で絶頂を迎えてしまう。性器から放たれた白濁は土蔵の壁を汚してしまった。
S状結腸の柔肉に突き刺さる性器。直腸が限界まで押し広げられている。真珠の凹凸が直腸の肉壁に埋め込まれる独特の刺激。少しでも気を抜くと、いくらでもイってしまいそうだ。
「あっ、ちょ、イったばっか……ん、あああっ!」
深々と奥まで挿し込んだと思った次の瞬間、すぐに鷹臣は性器を引き抜き始めた。真珠の凹凸が狭い場所を通っていく強すぎる刺激に悶える。
鷹臣の注挿は「待つ」という言葉を知らなかった。イった直後の敏感な体をお構いなしに注挿させる。前立腺だけでなく、直腸全体が善すぎる刺激に涙が止まらなくなっていた。
「ひぃぁっ! ああっ、あっ!」
土蔵に爪を立てる。指先が痛いが、それ以上に快楽の波が大きすぎる。括約筋を真珠が通る時も快感だし、抜かれた結腸をカリが擦るのも堪らない。確かに早くしてほしいと言ったのはセイルだが、このままでは逐情しすぎて意識を保ち続けられる気がしない。
「た、かおみさ……も、イきすぎ……こわい、よぉ……っ!」
子供のように泣きじゃくる。快感の波が何度も訪れ、その度に甘イキし続けていた。過ぎる快感は体に毒だ。頭が馬鹿になって何も考えられなくなる。
ガツガツと容赦なく掘られる肉壁。きっと鷹臣に腰を抱えてもらっていなかったら、いくら土蔵の壁に手を突いていても情けなく上半身はずり落ちていたに違いない。体の力なんて抜け落ちてしまっていて、鷹臣に翻弄されるばかりだった。
「ああっ、あっ、んぁあっ」
遠慮のない注挿で意識が朦朧としてくる。祭りの喧騒もどこか遠くで鳴り響いているようだ。肌を打つ音と恥ずかしい水音だけがこの世界の全てのように感じてくる。
中にいる鷹臣の性器の太さや長さ、硬さなどから、もうすぐ鷹臣も絶頂を迎えようとしていることを察した。伊達に何度も受け入れていない。
注挿が更に激しさを増した。もうすぐフィニッシュが訪れることを確信し、セイル自身も深い絶頂へと身を委ねようとした時だった。
「ねえ、まさや~ん、こっち、何にもなさそうだよぉ?」
「え~? ほんとに? じゃーあー、るりちゃんのこと、いっぱいギューってしちゃお~っと」
「キャー、まさやんたら~!」
土蔵の近くで聞こえてきた若者たちの声にビクリとする。その声は鷹臣にも聞こえていたようで、注挿が止まった。
近くに人がいる。そう考えるだけでドクドクと心臓が早鐘を打つ。拝殿の裏手へは立ち入り禁止の札やロープなどで明確に出入りを禁止している訳ではない。こうやって誰かが迷い込んで来ることだってないことではない。
通常であれば誰もおらず、祭りの雰囲気もなければすぐに立ち去るだろうが、まさか自分たち以外にも人目がないことを良いことにじゃれ合うような輩が現れるなんて思ってもいなかった。
鷹臣の大きな掌がセイルの口元を塞ぐ。覆い被さるようにセイルの上に鷹臣は体を乗せ、耳元に唇を寄せてきた。
「声、出すんじゃねぇぞ?」
ボソリと呟かれた言葉に何度も小さく頷いた。
セイルだって見つかりたくはない。見られて喜ぶ趣味なんて持っていない。
ゆっくりと奥まで挿入されていた性器が抜き出されていく。もう一度くらい絶頂と呼べる絶頂で吐き出したかったが、見つかる危険性を冒してまでしたくはない。
鷹臣のカリ首が括約筋付近まで引き抜かれる。ホッと肩を撫で下ろす。あと少しで引き抜いてもらえる。そうしたら、身なりを整えてから時を見計らって祭りの会場へと戻れば良い。
しかし、鷹臣の考えがセイルとは真逆であったことを次の瞬間に思い知らされる。
「……………………ッ!!」
抜く時と同じくらいの速さで再び奥へと向けて挿入が始まった。セイルの身がカタカタと震える。口元を押さえられたまま、首だけで後ろを振り向いた。ニヤリと何とも楽しそうな鷹臣の顔があった。
「見つかりたくなきゃ、そのままお利口にしてるんだぜ?」
「……………ッ!!」
途中までゆっくりと進めていた腰を一気に奥まで突き入れられる。目の前でチカチカと星がまたたいた。少しイってしまったのは言うまでもない。
それよりも、数歩歩けば顔を合わせる程の距離に人がいるというのに、何をしているというのだ。
鷹臣はセイルの口元を塞いだまま注挿を再開させた。こうなってくると、この快感もただの地獄と化す。
必死に喉で声を押し殺す。止められなければ、訝しんだカップルに見つかる危険性が極めて高くなる。
今は土蔵の陰に隠れて見つかってはいないものの、角を曲がって顔を出せばすぐにでも見つかる距離なのだ。
「ッ! ……ッ!!」
声にならない声が漏れてしまう。そして、ぱちゅぱちゅと小さくなる肌を打つ音。先程までの容赦のない突き込みの時とは比較にならない程小さいが、それでもいつ何時聞かれてしまうか分からない。
「んん~、浴衣のるりちゃん、可愛い~~~~~! ねえ、チューしても良い~?」
「も~、まさやんたらぁ。ちょっとだけだよぉ?」
(いやいや、ちょっとじゃなくて! 早く行ってくださいよぉぉ!!)
快感とは別の涙を流しながら気が気でなかった。こんなに危険と隣り合わせになったのはいつ以来だろうか。死を覚悟した湖へのダイブとはまた違う。あの時は生命の危機を察知したものだった。今回は見つかったからと言って死ぬわけではない。しかし、だからと言って、見られても良いかと言えば、別だ。ある意味、今後の生活に大いに支障が出ることは避けられない。
チュッチュッという軽いリップ音と猫なで声が聞こえてくる。そこにセイルたちの僅かな水音などが混じり、もはやカオス状態に陥っていた。
「……………ンッ」
それまで何とか我慢していたというのに、ひと際強く奥を突かれ、声が漏れてしまった。
「ん? るりちゃん、今何か言った~?」
「え、何も言ってないよぉ」
「あれぇ? 何か声が聞こえた気がしたんだけどなぁ……」
男の言葉に身を固くする。
バレてしまう。ガタガタと全身が震え始めた。中にいる鷹臣をそれまで以上にきつく締め付ける。もうこれ以上、動いてくれるなと願いながら。
しかし、そんなセイルの思いなど一切汲まないのが鷹臣という男だった。セイルの口元と腰を掴む手に力を込めたかと思うと、腰の動きを速くしてくる。ゴリゴリと中を擦られる淫靡な刺激に耐えられない程の悦楽の大波に攫われる。
「……っ! んん、んっ……」
押し殺している声が漏れてしまう。その度にガタガタと震えが大きくなった。
そして、セイルの心を裏切るように突き上げられる度に小さくイってしまう快楽に弱い体が恨めしい。勃起したセイルの性器の下の土には白濁が散っていた。しかし、肝心の鷹臣は未だ一度も放っていない。
そろそろ意識も朦朧とし始めた。このままだとあられもない声を上げてイってしまいそうだ。
何とかしたいのに、できることなんて何もない。あるとすれば、できる限り長く意識を引き留めておくことだけ。
「んん~~~~~ッ!!」
鷹臣が大きく腰をグラインドさせた後、最奥目掛けて強烈な一突きを放った。S状結腸にめり込んだ先端から放たれる熱い飛沫。セイルの桃色の性器からもトプトプと白濁が放たれた。
「えっ、やだ、何か、確かに人みたいな声したぁ!」
「ついでに変な音もしなかった……?」
「や~ん! もしかしたら、神社でイチャイチャしてたから、神様怒っちゃって、お化け出たかもぉ!?」
カラカラと下駄の高い音を鳴らしながら駆けて行く二つの足音。どんどんと遠ざかり、祭りの喧騒の中に混じっていった。
「ぷはっ」
二人の声が聞こえなくなった頃、やっと鷹臣がセイルの口を塞いでいた手を離してくれた。ゼェゼェと荒い息を吐きながら背後の鷹臣を睨みつける。
「信じらんない……バレたらどうするつもりだったんですか」
「バレたところで、俺の顔なんてあいつら知りもしないからな。まあ、お前は人気者だから言いふらされでもしたら恥ずかしいかもしんねーが、裏ビに出る良いチャンスなんじゃないか?」
全く悪気のない顔をしている鷹臣に怒りが湧く。
「もう! 終わったなら早く抜いて下さい!」
「はいはい、…ったく、余韻ってもんがねぇのかよ」
文句を言いながらも鷹臣は力の抜けた性器を引き抜いていく。
放った後と言っても、鷹臣の性器は勃起したセイルの屹立よりも大きい。しかも、真珠が埋め込まれている分、硬い物がゴリゴリと肉壁を擦っていくのは変わらない。
「んっ、うっ……」
感じ入りそうになってしまう体を叱咤する。もう鷹臣が逐情も果たしたし、性交は終了だ。さすがにここでもう一回戦というのはないだろう。今さっき、懸念していた危機を脱したばかりなのだから。
ヌポリと音を立ててカリ嵩の性器が全てセイルの中から引き抜かれた。巨大なイチモツがずっと挿入り込んでいた後孔はヒクヒクと蠢いたまますぐには閉じることができずに収縮を繰り返していた。
「そのままじゃあ、中のザーメン零れて浴衣汚しちまうかもなぁ」
楽しそうな声が聞こえてくる。その発言にビクリと体を震わせた後、恐る恐る鷹臣を振り返った。
「いえ、だ、大丈夫です。ちゃんと締めときますから……」
「おいおい、言った傍からできてねーじゃねぇか。遠慮すんなよ。俺が出したモノだからな。責任持って掻き出してやるよ」
「あっ」
鷹臣の指が二本、未だに閉じ切れていない後孔へと容赦なく入れられた。その言葉通り、二本の指は直腸内でかき回され、その度に白濁が後孔から溢れて太腿を伝う。
指を入れられているだけで先程の緊張感とそれに伴った快感がフラッシュバックするようだった。再び兆してしまいそうな性器に慌ててしまう。
「もう、もう大丈夫ですから!」
「ああ? こんな少なくねぇだろ、俺のは」
「奥! 指で届かない場所で出されてるので、すぐには……出て来ないかと、思います、ので……」
言っていて赤面するが、嘘ではない。S状結腸の奥で出された精液は奥深くまで到達し、なかなか指では出てこないのだ。後処理をする時などに苦労する。少しは慣れてきて、コツを掴み始めたものの、それを鷹臣の前で披露するつもりは毛頭ない。そんなことをすれば、喜々としてもっとしてきそうだ。
鷹臣の指が引き抜かれたことで、やっとこの場所での行為が終わりを告げた。安堵しながらもハンカチを取り出し、腿を伝う精液を拭っている様をまたしても煙草をふかしながらニヤニヤ見ている鷹臣に対し、再び頬を膨らませる羽目になった。
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