29 / 29
第2話 /09
そして息子エマリーも同じように愛し、育ててくれたのだ。その実母の言葉はけっして無下にはできない。
だからエマリーは唇を噛みしめ、感情を抑えることしかできなかった。
「ご安心ください、エマリー様。必ずや勝利を治め、見事マクブレイン卿を追い出してみせましょう!」
押し黙るエマリーに声をかけたのは側近のマニオンだ。
エマリーが勝手に話を進めるなと意見した内容は何もマクブレイン卿を追い返して欲しいなどというそんな安直な問題ではない。
たしかに、エマリーを女呼ばわりしたマクブレイン卿は気に入らないが、その要因を作ったのはエマリーだ。
自分の剣の腕が鈍っているからそう言われたまでのことで、だから別に彼をどうこうという話ではなかった。
――それよりも、またもや手を握ってくるマニオンにも嫌気がさす。
誰かに守ってもらう王子なんてうんざりだ。
こうやって女性のように扱われていけばいくほど、自分はそんなに頼りない存在なのだと思い知らされる。
エマリーの自己嫌悪は増すばかりなのだ。
誰よりも何よりも気に入らないのはいつだって自分自身。
エマリーはただただ唇を噛みしめる。
《誠実な側近と黒い悪魔。・完》
ともだちにシェアしよう!

