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季節外れの台風-6

 スマホを持つ手が震え、頭が真っ白になる。呼吸も乱れ、そのままその場に座り込んだ。  手から落ちたスマホが床に落ち、大きな物音を立てると、さすがに寝ていた彼女も起きてしまった。  このタイミングが良かったのか悪かったのかは分からないけれど、しばらく起きてくれなかったらこの気持ちの行き場もなかったし、むしろ良かったのかもしれない。 「(こう)ちゃん……、おはよ」  自分のスマホを見られたと気づいていない彼女は、眠い目をこすりながら呑気に挨拶をする。   「ん? どしたの? 何でそんなところに座ってるの?」 「……っ」 「……って、え? えっ!?」  俺の足元に落ちていた自分のスマホに気づいたのか、残っていた眠気は一瞬でどこかに消え去ったようで、これまで見たことないほどに慌てながらベッドから起き上がった。  何の反応もできない俺を無視しスマホを掴むと、すぐにアプリを開き、メッセージを確認している。  先輩からのメッセージの通知が来ていないのに、開いたらまだ読んでいない告白の内容があることに気づくから、俺がそれを見たことも分かるだろう。  何も言えずに彼女をぼーっと見つめていると、俺を傷つけて申し訳ないだとか、バレてしまってどうしようだとか、そうして取り乱すことは一切なく、「はぁ」と聞いたことのない低めのため息をつくと、俺を睨みつけた。

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