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季節外れの台風-7

「私が寝ているときにこっそり見たってこと? ずっと疑ってたの? だから今チャンスだと思ってこんなことしたわけ?」 「いや、そういうつもりはなかったし、別に疑っていたとかじゃないよ。ただ、メッセージの通知がたまたま目に入ってきて、その内容がありえないものだったから、そこから先は衝動的に開いちゃったというか……。てかさ、そういう話じゃなくない? 俺が何でこんなこと言わなきゃいけないの……」 「人のスマホ勝手に見るから悪いんだよ。有り得なくない? 私は航ちゃんのスマホ勝手に見たことないよ?」 「いや、だから……」  真っ先に出る言葉が俺を責める内容って、おかしくないか?  華ってこういう人だったの? もう色々なことがありすぎて、ずっと頭が混乱している。  ただ、頭が真っ白になるだとか、この関係が終わるかと思うと不安だとか、そういう気持ちよりも、下のほうで沸々としている怒りが、今にも爆発しそうだ。 「もういいや。航ちゃんってばもうすぐプロポーズしてくれそうな雰囲気あったけど、本当に航ちゃんなんかで良いのかなーって不安はあったんだよね。先輩ともどうなるか分かんなかったし、それまではキープしとこうかなって。でも先輩が私を選んでくれたから、私も航ちゃんじゃなくて先輩を選ぶよ。だから別れよっか」 「……え? まずさ、ごめんとかさ、せめて言い訳するとかさ……」

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