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聞いてしまった責任-16
「あっ……、や、め……ろっ、て」
そのまま背中へと回され、翼の手のひらが直接肌に吸い付くような感覚がした。
肩を震わせていると、「航大」と名前を囁かれ、反射的に翼のほうを見てしまう。
やらかしたと思ったときにはまたキスをされ、全身がゾクゾクとする。
「気持ちいって顔してる」
「別に、そんなん、じゃ……ない、って」
ぺろりと舌先で唇を舐められた。
「何だよ、その目は……!」
声だけじゃない。視線が、熱い。俺のことを愛おしいって、そんな目で見ている。
それを、気持ち悪いとも思えず、翼の手も振り払えなければ、キスも止められない。
……俺は別に、翼のこと、そういう意味で好きなわけじゃないのに。
「航大」
「あ、……っ、」
「航大の家が良いって言ったのも、わざわざ別れたタイミングにぴったりだったのも、女連れ込むとかないって言ったのも、航大が悲しいと俺も悲しくなるのも、松山先輩のことでこんなに怒っている航大を見て嬉しくなったり、イラついたのも、今こうして止まらないのも、航大が好きだからだよ」
聞いてしまったからには、もう誤魔化せない。返事を求められているわけではないけれど、翼が俺に触れる意味を知ってしまったから、それを受け入れたり、何事もないように流すことはもう、意味が変わるってことだ。
俺は、俺は……!
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