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聞いてしまった責任-15

 舌こそ入れられないものの、何度も角度をかえ、唇を挟むようにねっとりとしたキスをされる。  どこでこんなキスを覚えてきたんだと、なぜかそれにも腹が立ってしまう。  唇に血が出るほどに噛みついて、拒否の気持ちを示せば良いものを、なぜかそうできずに、翼の肩に手を置いてみるも、少し押すことしかできない。 「翼、お前……、調子に乗るなよ」  ようやく唇が離れ、余裕がない中でそれだけ伝えると、翼は俺を見下ろし、それから頬、鼻先、額にキスを落とした。  強引に唇を奪ったくせに、こうして優しく触れられると戸惑う。  なぜか嫌悪感はなく、心臓がばくばくと激しく動いていた。   「……俺、ずっと言ってたよな。聞いた責任取れんのかって。それで察することもなく、こうして踏み込んできた航大が悪い。俺はもう、止まれないよ」 「……どういうことだよ」 「これだけして、これだけ言っても分からない?」 「……っ、」  あの旅行のときに、まさかと思っていたことが本当だったのかと、翼の目を見ながら自覚すると、心臓だけじゃなくて全身に鼓動が響いた。 「航大……」 「待っ、て……」 「顔赤いの、何で?」 「……はあ? 知らんし」  俺は別に翼みたいに好意があるわけじゃないと顔を逸らしたけれど、逸らした方向に回り込まれ、視線がぶつかる。 「待って、って……」 「だから今さら待てないってば」 「……っ、あ、」  服の中に手を入れられ、あばらのあたりに触れられる。  背中を逸らしたせいで少し浮き出た骨を、優しく指先で撫でられた。

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