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聞いてしまった責任-14

「何が無自覚だって?」 「そういうところだよ、それが俺を煽るんだよ! まじでいい加減にしろよ。俺はもう、知らないからな!」  何が知らないんだ? と思ったときには、すぐ目の前に翼の顔があって、その距離の近さに意識が向いたタイミングで唇が奪われていた。  これまでのように軽く唇を当てるだけとは違って、強く押し付けられ、よりその感触が伝わる。 「……は、はあ!? やっぱり酔ってんだろ!」  さっきは俺から距離を詰めたくせに、こんなことをされると想定していたわけではないから、思わず翼を突き飛ばしそうと押した。  けれど、翼はちっとも動かないで、俺をじっと見つめている。 「……酔ってこんなことしないよ。航大に触れるときはいつもシラフだし、俺なりに真剣だから」  何歩分か下がると、運悪く後ろにソファがあって、俺は尻もちをつくよにソファに飲み込まれた。  ふかふかのソファが仇となり、沈み込んだ身体はすぐに動かせない。  じりじりと近寄って来た翼に、両腕で囲われ、今度こそ絶対に逃げられなくなってしまった。 「いつも……!? いつもってなんだよ、お前やっぱり俺にキスしてたのか……!」 「気づいてたの? 気づいてたくせに、こんなに煽ったの?」  翼は俺に跨るようにして、ソファに膝を立てた。  背もたれ部分を掴み、さらに距離を縮めてくる。 「だから、煽ったって……、俺は、別に……んう、」  喰われる、とそんな表現が似合うくらいの圧で、翼に再度唇を重ねられる。  

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