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聞いてしまった責任-13
家に帰り着き、明るい早の中で翼の顔を確認すると、急いで帰ってきたからというだけではないほど、頬が赤くなっていた。
「お前、やっぱり飲んだな?」
「だから飲んでないって! ちゃんと烏龍茶だったよ!」
「じゃあ何でそんなに顔が赤いんだよ!」
俺の言葉にハッとした様子で、翼が両手で頬を押さえた。それが気に入らず、その手を掴むと、翼が唇を震わせた。
「航大こそ何なの? 何でそんなに松山《まつやま》先輩に突っかかったんだよ。彼女にお酒を飲まされたらどうなの?」
「松山って言うんだな。先輩だから逆らえなかったのか? それともあいつに好意でもあるのかよ」
翼が彼女のことを庇い、まるで俺が過剰に反応したかのような言い方をするのが気に入らない。
「はあ? 俺だって一口飲めばさすがに気づけるわ。そんな一口で酔わないし、俺なりに彼女との距離感はかってたんだよ。先輩だからってのはあるけど、好意なんかないから」
好意がないならないで、あの距離感はどう説明するつもりだ? やっぱり誰にでも近い距離で接しているのか?
俺に散々しているみたいに?
「好意がないのにあの距離感? はかっててあれ? ベタベタされてたじゃねえか!」
「だからさっきから言ってるそれって何? まるで、俺のこと……!」
翼が俺の手を振り払うと、さっきよりもさらに顔が赤くなっていた。いつもは余裕ぶっているくせに、どうして今日に限ってこんな態度なんだよ。
酒を飲んでいないで、何にこんなに赤くなる必要があるんだよ。
振り払われた分、翼に距離を詰める。
「何? 意味分かんねえよ」
「意味が分からないのは俺のほうだよ。それ無自覚でやってんのかよ」
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