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溺れて沈む-17
俺が購入した指輪をまず自分の左手の薬指にはめると、それより大きめのサイズの指輪をそっと持ち上げ、翼の指にはめた。
「じゃあ俺も」
俺の指輪に重ねるようにして、翼は自分が購入した分を通し、それから残っているもう一つの指輪に触れる。
俺は自ら翼に手を差し出した。
翼にはめてもらうと、自分でしたときとは違った、不思議な感覚がする。
「航大、言っとくけど俺、ただのペアリングのつもりで買ってないからね」
「俺だってそうだよ。覚悟を示すために買ったの。結婚指輪みたいなもんだよ」
「はは、そっか……。航大、俺とずっと一緒にいてくれる?」
翼が優しく笑い、指輪にキスを落とした。
「俺の台詞だよ。俺から言いたかったのに」
天井に向かって、ふたりで手を伸ばす。
ダイヤはないけれど、光に当たって指輪がキラキラと輝いていた。
こうして見ると、ふたつあって良かったかもしれない。良い感じに重なり合い、俺と翼が寄り添っているみたいだ。
勝手にそう思いながら頬を緩めて笑っていると、そこに翼がちゅっとキスをした。
何笑ってんの? と聞かれ、別にとだけ答える。
恥ずかしくて正直に言えなかったけれど、翼はきっとお見通しなのだろうと、俺を見つめるその目を見ながら、そんなことを考えた。
「……航大、そろそろ溺れるだけじゃなくて、沈んでくれた?」
「まだそれ言ってんのか。そんなこと言われたって今さらだわ。とっくに沈んでるよ」
まるで誓いのキスのように唇を重ねると、人生で1番特別な日に思えた。
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