3 / 256
3
健人が開いたのは、フリマアプリのサイトだ。
買いたいものは、家庭用アンドロイド。
ヒトによって、心に大きな傷を負った健人は、しばらく生身の人間とは深く付き合いたくなかった。
「AIなら、私を傷つけることを言ったりしないだろう」
それに、アンドロイドには子どもの頃から興味があったのだ。
大手の玩具メーカーに勤めていた父は、幼い健人によく試作品を与えていた。
その中には、児童向けの育児ロボットもあった。
簡単な会話をしたり、歌ったり、踊ったり。
機能はシンプルだったが、健人はこのロボットがとても好きだった。
友達のように、一緒に遊んだものだ。
「試用期間が終わって、父さんの会社へ戻される時は、泣いちゃったなぁ」
そんな思い出に浸りながら、健人は検索を続けた。
考えていた以上に、家庭用アンドロイドのバリエーションは豊富だった。
様々なキーワードで、好みのタイプを絞り込む。
「髪はショート。体のラインは、スレンダーで……」
いわゆる、中性的なタイプを選んでいった。
女性絡みで、心に傷を負ったのだ。
どうしても、女らしさの特徴が薄い型を、目が追ってしまった。
ともだちにシェアしよう!

