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 健人が開いたのは、フリマアプリのサイトだ。  買いたいものは、家庭用アンドロイド。  ヒトによって、心に大きな傷を負った健人は、しばらく生身の人間とは深く付き合いたくなかった。 「AIなら、私を傷つけることを言ったりしないだろう」  それに、アンドロイドには子どもの頃から興味があったのだ。  大手の玩具メーカーに勤めていた父は、幼い健人によく試作品を与えていた。  その中には、児童向けの育児ロボットもあった。  簡単な会話をしたり、歌ったり、踊ったり。  機能はシンプルだったが、健人はこのロボットがとても好きだった。  友達のように、一緒に遊んだものだ。 「試用期間が終わって、父さんの会社へ戻される時は、泣いちゃったなぁ」  そんな思い出に浸りながら、健人は検索を続けた。  考えていた以上に、家庭用アンドロイドのバリエーションは豊富だった。  様々なキーワードで、好みのタイプを絞り込む。 「髪はショート。体のラインは、スレンダーで……」  いわゆる、中性的なタイプを選んでいった。  女性絡みで、心に傷を負ったのだ。  どうしても、女らしさの特徴が薄い型を、目が追ってしまった。

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