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「このブランドは、モードテイストで最近注目を集めているッス」
「そうなの?」
「しかしシャツでは一転して、クラシカルな見た目のアイテムが、人気を博しているッス」
「なるほど」
「どこかヴィンテージ感のあるデザインが、人気のポイントなんス」
「へぇ……」
「って! 何で長谷川さんが、感心してるんスか!?」
身に着けている本人が、何も知らなかったのだ。
羽田は、呆れていた。
しかし反面、そんな健人を改めて尊敬した。
「人気ブランドで身を固めても、全ッ然カッコつけないとか。やっぱ、神ッス!」
「褒めすぎだよ、羽田くん……」
羽田が神とあがめる健人の傍で、次は素朴な疑問が湧いた。
「でも、何でまた急に? 高いのは、シャツだけじゃないんでしょう?」
一応、大手の傘下ではある会社だが、その内情は中小企業と変わらない。
係長クラスのサラリーでは、とてもブランド品を買い漁るなどできないはずだ。
そんな声には、健人はあらかじめ答えを用意していた。
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