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『長谷川さん。はい、これ! ガンデオンのコーヒーですぅ』 『吉井さん』 『第三弾は、いよいよメカですね』 『そ、そうだね』  美咲が渡してきた缶コーヒーには、主人公機のガンデオンがプリントしてある。  気持ちはありがたいが、健人は戸惑った。  あれだけ無慈悲に振った男に、どうして今さら親切にしてくるのだろう。 (私が宝くじで大金を手にした、って噂を聞いたから、かな?)  美咲は、健人がコーヒーを受け取ったことを確認すると、心の中でほくそ笑んだ。 (イケる! 長谷川さん、まだ私のこと諦めてない、っぽい!) 『長谷川さん、金曜日の夜は空いてますかぁ?』 『え? どうして?』 『実は、悩み相談に乗って欲しくって、それで。レストラン、予約しました』  食事をご馳走するので、話を聞いて欲しい、と美咲は言うのだ。  相談なら、昼休憩の時にどうかな。  他の人に聞かれたくないのなら、会議室を抑えるから。  そんな健人の意見は、美咲には通らなかった。  業後に食事をしながら話す、の一点張りなのだ。  また女子社員たちの間で、酷な評価を下されるのも嫌だったので、健人は承知した。

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