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「何か、怪しい。長谷川さん、気を付けるッス」 「彼女、悩みがあるって言ってたし。気分転換になれば……」 「甘い! 甘いッス、長谷川さん!」  ここだけの話、と羽田は声をひそめた。 「吉井さんは、裏表が激しい子と聞いてまス」 「ああ、なるほど……」  思い当たる節があるな、と健人はうなずいた。 「くれぐれも、トラブルに巻き込まれないよう、気を付けてください!」 「うん」  いや、すでにもう巻き込まれているのだが。  頭をかく健人に、羽田は気を取り直して訊ねた。 「長谷川さんは、誰か誘う人がいるんですか?」 「私は、最近同居を始めた子と……」 「同棲、ッスか!?」 「こ、声が大きいよ」  実は、アンドロイドくんと暮らしてる、と健人は正直に話した。 「由宇くん、って名前でね。素敵な子なんだ」 「良い、ッスね! 最近じゃ、アンドロイドと結婚する人もいるし!」  羽田は気軽にそう言ったが、健人は小さく息を飲んだ。  結婚。  由宇くんと……結婚!? 「じゃ、長谷川さん。話、進めますね!」 「あ、うん。よろしく頼むよ」  羽田は去ったが、彼の言葉はいつまでも健人の心に残っていた。

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