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 いったん離れて、水を飲み。  体を清めて、横になり。  そこで健人は、改めて由宇に声を掛けた。 「由宇くん、これからどうする?」  シャワーを浴びてサッパリする、とか。  少し夜景でも楽しんでみる、とか。  それとも、ラブラブ二回戦へ突入する、とか。  そんな意味を含んだ言葉だったのだが、由宇は勢い込んで健人の首にかじりついた。 「僕、ピロートークしたいです!」 「由宇くんは、それが好きだねぇ」  彼に腕枕をしてあげながら、健人は甘くささやいた。 「今夜の由宇くんも、素敵だったよ。さて、何をお話しするのかな?」 「はい。吉井さんとの勝負についてです!」  まるでムードのない、由宇の返事だ。  健人はくすくす笑いながら、彼のおでこに自分の額を軽く当てた。 「その吉井さん、意外な一面を持ってたね。驚いたよ」 「あっ……」  そこで由宇は、改めて美咲の印象を更新することができた。 「そう。そう、です。思ったより、いいヒトでした……」  彼女は、由宇の健人への愛情を、肯定してくれた。  あれで、イメージががらりと変わったのだ。 「良かったね、由宇くん」 「はい。とても、良かったです」 「じゃあ、今夜はもう眠ろうか」 「……おやすみなさい、健人さん」  ふんわりと、温かく。  幸せな気持ちのまま、由宇は瞼を閉じた。  彼がスリープモードに入るまで、健人は優しく見守っていた。  

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