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旅行を終えて自宅へ帰った健人と由宇は、口を揃えてこう言った。
「あぁ、疲れたぁ~」
「やっぱり、家が一番落ち着きますねぇ~」
二人、顔を見合わせて笑った。
「一度、言ってみたかったんだよね」
「僕もです」
軽く荷を解き、シャワーを浴びて。
慣れ親しんだバスタブで、ゆっくり疲れを癒し。
温かいハーブティーのカップを手にすると、由宇は改めて健人に向き合った。
「さぁ、健人さん。今度こそ、高橋さんとの賭けについて、話し合いましょう」
「うん、解った。だけど、その前に……」
「また、ですか? いい加減に、先延ばしは止めてください!」
「まぁまぁ、そう言わずに。はい、由宇くんへのお土産!」
「えっ?」
差し出されたオレンジ色のプラ袋には、ONKアミューズメントパークのロゴが入っている。
由宇は、困惑した。
「これって。ほんのさっきまで、僕たちが滞在してた施設のものですよね」
「うん。ショップで、買ったんだ」
「なぜ、ですか? 旅行のお土産は、留守番をしていた者に贈る物品ですよね」
由宇自身も、健人とお出かけしたのだ。
だのに、お土産をもらうのは妙だ。
それは、由宇の抱いた疑問であり、正論でもあった。
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