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「美咲さんのプロポーズ、カッコよかったです」 「そうだね。お見事だよ」  健人は由宇に、結婚して欲しいと願った時のことを、思い出していた。 (ちょっと、突然で。おまけに、ストレート過ぎたよなぁ)  ただ由宇を驚かせ、慌てさせてしまった、失敗。 (今度は、スタイリッシュに決めたいな!)  よし、と健人は背筋を伸ばした。 「由宇くん。話しがあるんだけど」 「もう、11時ですよ? 明日にしましょう」 「ち、ちょっとだけ」 「さあ、寝室へ行きますよ」  由宇は、さっさとソファから立ち上がると、健人の腕をつかんだ。  彼に引っ張られながら、リビングから寝室へと移動する、健人だ。 「何? 由宇くん、そんなに眠いの?」 「いいから、早く」  寝室の落ち着いた照明の元で、ようやく健人は由宇が急いていたわけを知った。  彼はすぐにベッドへ上がり、パジャマのボタンを一つ外したのだ。  ふふっ、と健人は、小さく笑った。 「熱いレースを観戦して、興奮した?」 「そんなところです」  もどかしく指をもつれさせ、由宇はボタンに手こずっている。 「おっと、由宇くん。それは私に、任せて欲しいな」  健人もベッドに上がり、由宇に優しくキスをした。  応えてくる由宇と甘い口づけを交わしながら、その指は彼のボタンを上から外す。  全てのボタンを外したころには、二人は寝具に横たわっていた。  互いの肌を撫で合い、熱く昂っていった。

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