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圭吾は乃亜と違い、生来の天才だ。
古くから優秀な人材を輩出している、藤崎一族。
そこの、三男として生まれた。
第二性はアルファで、幼い頃からその天才ぶりを発揮していた。
そして、彼が12歳になった年に、政府からの遣いがスカウトに来たのだ。
『圭吾くんの才能を、ぜひ国の研究機関で育みたいのです』
『彼と同じギフテッドの仲間も、大勢いますよ』
『授業料、生活費などは、もちろん全額免除です』
『それどころか、多額の報奨金が国から支払われますよ』
圭吾の家族は、もちろん金銭が目当てで、彼を外へ送り出したわけではない。
その才覚が、逆に圭吾を孤独に追い込み始めていたからだ。
同じ年代の子たちとは、すでに話が合わない。
あまりに高い知力と精神年齢が邪魔をして、クラスでも浮いた存在になっていた。
『彼と同じギフテッドの仲間も、大勢いますよ』
両親は、この一言に動かされた。
圭吾も、その気になった。
仲間が、友達が、たくさんできるかもしれない!
そして彼は親元を離れ、国の特殊機関の一員となったのだ。
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