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第四十九章 愛を刻んで
健人は由宇に、行為の合間にキスをした。
唇に、だ。
可憐な胸元の乳首をさんざん苛めておいては、改まったようにキス。
華奢な細腰や真っ白い腹、滑らかな内股を撫でては、キス。
甘い愛撫を受け止めながら、速くなっていく呼吸を感じながら、由宇は健人に思いきって訊ねた。
「どう、して。健人さん、なぜ……キスを……?」
「由宇くんが、何だか緊張してるみたいだから」
「あ……ッ」
そこで由宇は、首筋を反らせた。
ふるっ、と震えて、腰をわななかせた。
しかし、それはドライオーガズム。
彼の性器は、大人しいままなのだ。
「心ここにあらず、って感じ。キスして、その可愛い唇から、言葉を引き出したいんだ」
「ごめんなさい」
「謝らないで。ただ、不安なこととかあれば、聞きたいな」
「僕……僕……」
口ごもってしまう由宇から、無理やり何かを聞き出そうとは、思わない。
健人は、声を掛ける代わりに、そっと彼のペニスに触れた。
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