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第7話

意識がゆっくりと浮上し、瞬きを繰り返す。 「....ッ!」 そうして自分が何かを抱き締めていることに気付き、声にならない声を上げた。 柔らかい髪が頬を擽る。 そこにはスー、スーと規則正しい寝息を吐く温かい身体。 「って、、、厚かましいわ!」 「ってぇ!!」 自分が抱き締めていたことは棚に上げ、その身体をベッドから突き落とした。 床に落ちた音と小さな叫び声。 「ってぇな!何すんだ!」 「君が僕のベッドで寝てるからだろう!」 「運んでやったんだから文句言うなよ!」 「ほう...誰のせいで動けなかったと思ってんだ。調子に乗って何回もヤりやがって。」 「う"」 冷ややかに言ってやれば押し黙る。 それにフンッと鼻を鳴らし、ベッドにもう一度潜り込んだ。 くっそ...本気で痛い。 ズキズキと痛む尻に眉を寄せ小さくタメ息を吐けば、小さな声が聞こえてきた。 「寝てるときは素直だったくせに。抱き締めてきたのはそっちじゃんか...ってぇ!」 「煩い!ガキが!!こっちは痛いんだから、静かにしてろ!」 「ご、ごめんなさい」 ブツブツと文句を言う二ノ宮くんに敷いていた枕を投げつけた。 顔に当たったのか鼻を擦りながら謝る姿は、叱られた犬のようだ。 まったく、どうしてこんなバカに... そうは思うが、流されたのは自分だ。 受ける側の負担なんか考える余裕も無かったんだろう...一度の吐精じゃ満足しなかったこのガキは、その後2回も続けやがった。 結果、見事に動けなくなりベッドまで運ばれる始末。 疲れた身体と温かい布団の心地よさに、直ぐに意識は沈んだが...なぜ二ノ宮くんまで一緒に眠る必要があったのか。 だいたい、セックス覚えたての高校生じゃなし、3回もヤるなよ。 ...... ...........違う。 こいつはセックス覚えたてのガキだった...!! 「その、坂木さん」 「なんだ?っ、」 一人悶々と布団の中で考えていれば、おずおずと掛かってくる声。 それに小さく答えてやれば、布団の上からギュッと抱き締められた。 「俺、ちゃんと童貞捨てられました。」 「.....良かったな」 筆下ろしさせてやったからな。 口に出すのは何となく悔しいので、心の中で続ける。 「はい。で、今度は覚えてます。」 「.........」 なんだ、何が言いたい? 耳のすぐ側で聞こえてくる声に、言葉の意味を読み取ろうと頭をフル回転させる。 「だから...ありがとうございます。」 「ん...」 お礼を言われ、なんとも複雑な気分になる。 他に勃たなかったからとはいえ、年上のしかも男相手に童貞捨てたとか、こいつの汚点なんじゃ... 「で、これで俺達は恋人な訳ですし、これからもよろしくお願いします。」 「ん....ん?」 「恋人なら、もう一回しても問題ないよな?」 「は?」 バサッと布団を捲られ、空気が揺れる。 「ちょ、二ノ宮く...ンンッ!」 何を言われたのか理解するよりも前に、ベッドに押さえつけられるようにしてキスをされた。 「んっ、ふ....」 なんだ、こいつ...今何て言った? 「はっ、坂木さん...」 キスの合間に名前を呼ばれ、また口を塞がれる。 差し込まれた舌が好き勝手に動き回り、調子づいた手がシャツの隙間に忍び込んで来たところで、ようやく意味を理解した。 「んの、阿呆が...!!」 ドガッ!! 「ってぇ!!」 「調子に乗ってんじゃねぇぞ、クソガキ!!誰が恋人だ!」 「はい!ごめんなさい!」 腹を押さえ床に尻餅をついた二ノ宮くん。 謝りながらも、どこか嬉しそうな顔をしているその様子に尻よりも頭のほうが痛くなる。 勘弁してくれ... セックス=恋人 安易な考えのこのクソガキの教育を、もしかしてこれから僕がしないといけないのか? 目の前で尻尾を振る二ノ宮くんに、飼い主さながらに躾をしていく自分の姿を想像し、今日一番大きなタメ息が溢れたー。

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