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優成から返信が来たのは、22時を過ぎた頃だった。 風呂上がりの俺は急いでLINEを確認した。 どうやら優成はトラブルの対応に追われていたらしく、俺に連絡する時間も取れなかったようだ。 優成はいつもより元気がなく、文面からでも疲れが滲んでいた。 俺は通話もしたかったけれど、今夜は我慢することにした。 それに── 『俺も世利に会って抱きしめたい』 この糖度100%の言葉をもらったおかげで、通話を我慢できたと言ってもいい。 はぁ……恋人同士の甘いやり取りエグいって。 俺はベッドに寝転びながら、緩んだ顔でスマホを見ていた。 そして、LINEを返すために指を動かした。 『いつ頃帰れそう?』 早く帰ってきて欲しくて、忙しいとわかっているのにそんなことを聞いてしまった。 その時の優成の返信は早かった。 『順調なら日曜の夜になりそう』 日曜の夜ってことは、今日が木曜日だから── 俺は卓上カレンダーに目をやった。 「三日後じゃん……」 今の俺にとっては、気が遠くなるほど先に感じられた。 ため息とともに体の力が抜けていき、そのままベッドに寝転んだ。 俺は見慣れた天井を眺めてから、ゆっくりとまぶたを閉じた。 風呂上がりの火照った体が、静かに冷めていくのを感じる。 優成は日曜日に帰ってくるんだ。 俺は、これから自分のやるべきことを頭の中に思い浮かべた。 まず優成に会う前にいくつか準備をしなくちゃいけない。 それと優成を安心させる方法も見つけないと。 あとは……ちゃんと仕事も行かなきゃだよな。 そう思うと3日なんて短いほどだ。 俺は目を開いてガバっと起き上がった。 そして、優成に返信する。 ──トトト…… 優成が安心してくれるような言葉を選んでいく。 『3日後に会えるの楽しみだ!』 『仕事頑張りすぎるなよ』 そして最後に、俺の持ってるスタンプの中で唯一かわいい気がしてる、足が生えてる大根のスタンプを送った。 『おやすみ』 その夜、俺は優成からの返信を待たずに眠ってしまった。 夢も見ないで爆睡して、気がついたら朝だった。 その日から、優成が帰って来るまでの期間で準備を始めた。 優成に会えないのは寂しかったけど、何かをするにはあっという間だ。 その間も俺たちはお互いに連絡を取り合っていた。 優成から返信が来るたびに、仕事中だろうとスマホに飛びついて返事をした。 スマホを睨みつける俺を心配して、塩野に軽く声をかけられたほどだ。 「先輩……そんなスマホばっかり気にして、どうしたんすか。 人質でも取られてるんすか?」 そうこうしていると、待ちに待った優成が帰ってくる日曜日になっていた。 『16時頃に帰る』 そんな連絡が来てから約半日。 俺はアパートの自分の部屋で、優成の帰りを待っていた。 壁掛時計を見ると、16時を10分くらい過ぎていた。 俺はいつもなら10分なんて気にもならないのに、今日ばかりはその時間を永遠に感じていた。 我慢できなくなった俺は優成に連絡をしようとスマホを持ち上げLINEを開いた。 その瞬間── ピンポーン インターホンが鳴ったと同時に俺は立ち上がり、玄関に駆け出した。 鍵を開けて思い切り扉を開けると、そこには待ち望んだ人が立っていた。 「優成!」 「世利、ただいま」 優成は茶色のパーカーに黒のパンツ姿で、一度着替えてからここに来たことがわかった。 「おかえりっ!」 俺は両手を広げて、優成に抱きつこうと足を一歩近づける。 すると案の定、優成は俺から一歩後退りした。 目の前の理性ガチガチ男を、俺は無言で睨みつけた。 「そんな顔しても駄目だ」 優成は困ったように笑った。 俺は呪いが解けていることをすぐにでも伝えたかったけれど、まずは優成を家に招き入れることにした。 ──コトン 俺はリビングのテーブルに冷たい麦茶を二人分置いた。 カーペットの上に直に座る優成は、グラスを手に取り麦茶を一気に飲み干した。 「はぁ……急いで来たから喉カラッカラだった」 優成は空のグラスをテーブルに置くと、ベッドに腰掛けた俺に顔を向けた。 「世利、それでレイチェルとの話はどうだった?」 優成の真剣な表情を見つめて、俺は一度拳を握った。 これから話す内容を考えると、胸がドキドキと激しく動き出す。 俺は小さく息を吸って口を開いた。 「レイチェルとトモロウから聞いた話を全部伝えるよ」 優成は俺を見て小さく頷く。 俺は部屋の隅に置いた荷物をちらっと見てから、もう一度優成に向き直った。 「それと、ひとつ信じて欲しいことがある」 「……信じて欲しいこと?」 不思議そうな顔をして優成は俺を見つめた。 そして俺はそのまま話を続ける。 「うん、俺が優成を大好きだってことは信じて欲しいんだ」 俺の言葉に、優成は目を丸くしていた。

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