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第47話 そして幸せに暮らしました
光あふれる美しい日だった。
マリローズは薄いピンクのドレスだった。マリエルとマリベルも同じ色のワンピース。大聖堂のステンドガラスから指す光は美しいし、窓辺に雪雀のつがいがやって来ていた。
アルノーとルネもシモンが持って来てくれた荷物の中の揃いの衣装で参加。濃い紫のフロックコートに薄いブルーのウエストコート(中のベスト)、ペアを物凄く主張している。
式が終わって、大聖堂の椅子にそのまま残ったふたりは話し込んでいた。
シモンとは和解した。遊牧民の新しい長と交わした合意文書の説明と、学校や定住の話。ナスィームとバブルとバブリのこと。もちろんルネの子供達のこと。
アルノーはシャルルの時代、子供だったせいで何も出来なかった。エタンとアナマリーにも迷惑をかけた。それが、今、大人で色んなことが自分で選んで決めていけるのが嬉しい。誰かの力になれる。
最後に大聖堂を出ると、二羽の隼が屋根から飛び立った。隼達は高く高く空を飛び、遠く北の山に帰っていった。
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シャルルとアンリ、アルノーとルネの別れと出合いのお話はここで終わりマリローズの婚約式。
この後、皇都に戻って、成婚。結婚のついでに名前も 皇帝アルノー・シャルル・ルブロワ、皇配ルネ・アンリ・ブランシュに。
無事、交互に三人ずつの子供を儲けました。ルネは自分まで妊娠できるようになると思っていなかったので、驚いていた。
ゾエは結婚相手がDV男だったので子供を連れて戻ってきて、アルノーとルネの子たちの乳母に。
オアシスのダンサー四人には成分を調整して、スプレー式にした練香油を送ったり、二人でルネの子供達の様子を見に行ったり。
大変なことも楽しいことも乗り越えて、幸せに暮らしました。
数十年後、アルノーが亡くなるとルネは一日で全ての手配をして共に逝きました。
棺の中のアルノーに口付けて、
「俺ね、口付けはアルノーとしかしてないんだよ。アルノーだけなんだ。
マ・ベルアルノー……」
そう言うと、アルノーの髪に口付けて、手を握って亡くなりました。
そうして、もう生まれ変わらないで、ずっと一緒に眠っています。
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