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第46話  アルノーの怒り 

式の前日の早朝辿り着いた  バリュティス領の領主館はまだ誰も起きていなかった。一度馬を返しに宿屋に行くと、流石に宿屋は起きていた。宿屋の馬車で領主館まで送って貰い、もう一度門番のところに行って声をかけると、さっき預けた荷物はもう部屋に移動されていた。  朝の忙しない空気の中、部屋に案内されて、ルネとアルノーは一旦眠ることにした。  起き出したのは昼前。身支度して、おそらく食堂にいると思って行ったら、誰もいなかった。なんだ朝からなんか肩透かし喰らうなあと思いつつ、探していると、シモン・ドラクール、グルーディアス領領主が明日の婚約式のために到着したばかりだったらしく、全員、応接の間でお茶を飲んでいた。  シモン・ドラクール、前世エタン、マリローズとアナマリーの伴侶。部屋に入って、顔を見たら怒りが沸いてきた。多分、すごい顔をしたんだと思う、シモンは反射的に席を立って後ずさった。  結果から言うと、一瞬で周りの全員がガードする配置に移動した。マリローズはシモンの前に立ち塞がり、ルネはアルノーを羽交締めにした。マリエルとマリベルはそれぞれ両親が目を塞いだ。  動けなくなったアルノーが 「くそっ!」  と言ったので、マリエルとマリベルは耳を塞がれた。  そのままルネがアルノーを向き変えて胸に抱いた。 「もういいんです。もう終わったんです。アルノーが全部書き換えてくれたじゃないですか」    

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