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この世界には生まれた時に決まる第一次性と第二次成長期にわかる第二次性がある。
生まれた時に決まるのは男女二つの性で、成長期に決まるのはα/β/Ωの三つの種だ。
αは肉体的にも精神的にも富み、強く勇ましい人が多い。Ωはかわいらしく可憐で人を引き付ける魅力がある。
βはというと…実に平凡的で普通の人間といった感じだ。
男女の比率が半分半分、その中の八割がβで、残り一割ずつがαとΩだと言われているこの世界。
俺は半分の男性性で八割のβだった。
成長期の時に聞いたときは安心した。平々凡々な俺がαというのも違和感があるし、発情期のあるΩは大変そうで嫌だった。
α男性がΩ女性を抱く、β男性がΩ男性を抱く、Ω男性がΩ男性を抱く…自由恋愛の効くこの世界で、俺は失恋をしている。
した、と言い切れないのは未だに相手から別れようという言葉がないからだ。意気地なしな俺は自分から別れを切り出すこともできず、ズルズル、ズルズルと関係を続けてしまっている。
俺は男性しか好きになれず、しかもネコだった。Ω女性やβ女性なら需要のあるものだが、俺は男だったためなかなか恋愛は難しく、そんな中で見つけた唯一の愛だった。
でもそれもつい最近壊れてしまった。
―運命の番
結婚まで約束した俺たちの前に立ちふさがったそれは、俺たちの愛し合った時間をまるで無に帰すかのようだった。
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