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第11話 悪手は打ってから気付くもの(side保)【*】
修平の部屋に初めてお邪魔した俺は、初っ端からとんでもないことを聞かれた。
「さて、保先輩。俺の尻に、指突っ込めます?」
ハアアアアッ!?
「いや無理」
「ですよね」
無理だろ、普通。
俺は、単なる好奇心に負けてこの部屋に入ってしまったことを早速後悔し始めた。
今思えば、この時が最後の分かれ目だったんだ。
俺と修平の関係が変化するか、しないかの。
そして俺はこの時、ちらりと玄関ドアは見たものの、出されたコーラをごくごく飲むという選択をした。
そう、緊張で喉が乾く。
俺は明らかに修平に扱かれた時に与えられた快感が忘れられずにそれをもう一度味わいたい、なんて期待してノコノコと修平の家まで来た自覚はあるが、それを理解しているだろう修平にメリットがあるとは思えない。
アナニーは一人じゃ踏み出せないと言っていたから、それを俺に手伝って貰うのがメリットと言えばメリットなのか。
なのに俺、修平の尻に指突っ込めないとか言っちゃったし。
「じゃあ、俺が解 すほうを先にしますね」
「解すほう?」
「はい。ひとまず、ベッドに上がって下さい」
「ん」
良かった、なにやらやりようはあるようだ。
そう思った俺は、修平に言われるがままベッドに上がった。
そして、コロンとうつ伏せに転がされる。
「……?」
修平は俺の後ろから覆い被さると、徐ろにパンツのボタンとファスナーを開けて、そのままずるりと膝まで下げた。
「ちょ、ちょっと修平!」
「もう保先輩の息子までこの手で扱いてるんですから、気にしないで下さい」
正確にはケツマンオナホでだ!!
俺はスースーするお尻に心許なくなり、自分の手を後ろに回してパンツを上げようとした。
が、両手首を修平の片手で押さえられ、身動きが出来なくなる。
そういえば、前回もこいつに押さえ込まれて全く抜け出せなかったんだっけ、と俺は今更思い出した。
将棋でも、角や香車や桂馬が効いてるのをよく忘れて悪手を打つことがあるけど、これも明らかに悪手だった。
「ま、待って……!」
「少し冷たいですよ」
せめて、何をするのかだけ教えてくれ!
「何……ひゃあ!」
俺の尻に、何かニュルニュルしたものを修平が落としたのを感じた。
最初はひんやりしたが、直ぐに温かくなる。
「じゃあ、始めますね」
「ちょ、やめ……!んぅ」
俺の尻の穴の周りを、熱を伴ったそのニュルニュルした液体を塗り込めるように、修平の指がなぞる。
「や、もうイイッて!!」
まさか、自分以外の人間に尻の穴を触られる日が来るとは思わなかった。
「怖がらなくても大丈夫です。少し時間は掛かりますが、絶対、気持ち良くさせますから。信じて下さい」
「う~~っ」
ケツマンオナホは衝撃だったが、確かに修平は俺にとって未知の快感を教えてくれた。
もう既に恥ずかしいところは沢山見られているんだし、修平はそれをネタに脅迫するような性格ではない。
「~~わかったよ、少しだけだかんな!」
ゾワゾワする感覚が尻から背筋へ運ばれてくるのを感じながら、俺はヤケ糞気味に叫んだ。
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