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第79話 避けて通れない問題(side保)

「じゃあ、行ってくるね」 「気をつけて行って来て下さい。お土産は持ちましたか?」 「うん、持った持った」 季節はいつの間にか、十二月に突入していた。 クリスマスには一緒に熱い夜を過ごして、修平からプレゼントされたネックウォーマーを今日も身に付けている。 これで付き合ってない、なんて無理がある。 そして、来年に向けて、避けて通れない母という問題に、流石に向かい合わなければならないと思って、今年の年末年始は帰省することにした。 因みに昨年はバイトに明け暮れていて、帰省はしていない。 修平の実家は、新幹線を使わないと帰れない俺とは違い、新幹線を使わずに二時間と少しで帰省出来るらしい。 「修平。あの、その、もし……」 ダメだったら。反対されたら。 そんな、マイナスの考えばかりが頭にぐるぐる回って、眉間に皺が寄る。 もしダメだったとしても、母を説得するまで待って欲しい。……そんなことを言って、修平を縛るのはズルいだろうか? 「保先輩」 修平は、誰が見てるかわからないホームで、俺をグイッと引き寄せ、額にキスをした。 「しゅ、修平!!」 俺は慌てて距離を取り、キョロキョロと周りを見回す。父親に抱っこされた、赤ちゃんとだけ目が合う。 ……ごめんね、純粋無垢な君にこんなところを見せて!! 「俺は、保先輩に選ばせませんから」 「え?」 「保先輩は、お母さんも俺も、揃っていて幸せになるんです。どちらが欠けても、先輩が辛くなるとわかっていて、選ばせたりなんてさせません」 「修平……」 思わず、涙ぐみそうになった。 大丈夫だ、修平なら、修平と一緒なら、大丈夫。 「今日も、本当は一緒に着いて行きたい位なんです」 「や、それはちょっと……」 俺はつい、その場を想像して笑った。 うちの母親の心構え的な準備もなく、修平を連れては行けない。一人息子がいきなり彼氏を連れてきたら、いくら心臓が強そうなうちの母でも、卒倒するかもしれないし。 俺が笑ったのを見て、修平も微笑む。 「保先輩が今回上手く話せても、話せなくても、次は一緒に行きましょう」 「……うん、ありがとう」 新幹線の発車を知らせるベルが鳴り、俺は新幹線に飛び乗った。 「保先輩! こっちに戻るようになったら、連絡下さい! 迎えに来ます!」 「うん! ありがとう、また!! よいお年を!!」 俺達の間を、新幹線の狭いドアがプシュー、という空気音を鳴らしながら、遮った。 修平と同じ場所にいるのに、別々の空間にいるという事実が、これからの自分達を予感させて不安が広がった。 不安になると、いつも修平から強引なセックスをして欲しくなってしまう。 後孔がきゅう、とすぼまり、ナカに埋められたプラグに縋り付いた。

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