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第94話 【終】.投了するまで、後少し(side保)【*】
「うん。そう、だから、春に一緒に会いに行くから、一応物件探しはするから。……うん、うん、わかってる。じゃあ、ケンとおじさんによろしく」
俺が電話を切ると、修平は自分のデジカメを見ながら、「お母さんからOK貰えましたか?」と聞いてきたので、「うん」と笑って答えた。
こっちを向いてくれない修平に伸し掛かり、「何見てるの?」と聞けば、「一緒に見ます?」と言われ、つい覗き込む。
するとそこに写っていたものは。
『あっ……何か、おしっこ漏れちゃいそう……!!』
『では、ここまでですね。最後までしっかり入れられましたよ』
「な! なんてもん見てるんだよっっ!!」
てか、いつの間に撮ってた!?
「保先輩の、尿道プジー初体験です」
慌ててデジカメを取り上げようとするも、すいと俺の手の届かないところまで持ち上げられ、もう片方の手で急所を掴まれた。
「あんっ♡」
「初々しい保先輩も可愛いでしょう?初めて入れたのは、三ミリの十八センチだったんですよ。それが、今や……」
「ぁう♡ や♡」
修平は、俺の尿道プラグを出し入れしながらニヤリと笑う。
「倍の八ミリ、しかも貫通式を常時使用の変態さんですからね。プレイの長さは三十五までいけますし」
「修、平……っ♡」
「そろそろ十ミリもイケるんじゃないですか?この動画見ながら、今からヤりましょうか」
「ぁひ♡ 急にっ♡ 抜かないでぇっ♡♡」
「ああ、すみません。もっと苛めてからのほうが良かったですよね。尿道もこんなにエロくビロビロに拡がって、プラグ大好きですからね」
「うぅ……っ♡♡」
「ほら、舐めて上げるので機嫌直して下さい」
「ひゃ♡♡ 修平……ッッ♡♡」
結局この後、散々動画を見せられながら尿道を苛められて、感じまくった俺から修平に、おねだりセックスをしてしまった。
春になる頃、修平を実家に連れて行った。
母とおじさんに歓迎されて、祝福されたのだが、もうひとつ。
「まだ安定期にも入ってないんだけど」と言って照れながら報告する、母の妊娠を知った。
俺は喜んで婚姻届にサインをし、いつ出すかは拘らないという母を急かして、二人でそのまま市役所に向かって貰う。
俺は母の結婚より、赤ちゃんの話のほうが実は何倍も嬉しかった。
男でも女でも、絶対に可愛いだろう!!
俺達二人は、実家に置いてある将棋で対局しながら時間を潰す。
「よし、もう一局だ!! 修平、次は穴熊なしでやろう!!」
「良いですよ」
一局目、あっさり負けた俺は、独自ルールで修平の得意戦法禁止を設けた……のだが。
「保先輩が投了するまで、あと少しですね」
「……え? マジで? 全っ然、読めてないんだけど」
ううむ、と基盤を前に悩む。
修平がその時、俺の頭を見ながら「つむじまで可愛いな、コノヒト」などと思っているなんて露知らず。
その後、何手か打ち合って。
「ああクソっ! そういうことかぁ……!!」
俺は、頭をくしゃくしゃっと掻き回した。
「保先輩、髪が」
修平は笑って、俺の髪の毛を自分の指で梳いた。
俺の髪が、修平の指に攫われていく。
少しドキドキしながら、「ありがと」と修平に笑って言った。
ああ、幸せだ。
修平に会って、思われて、愛し合って、幸せだ。
「……保先輩、知ってました?」
ん?
修平に声を掛けられ、そちらを見た。
その優しい眼差しに、俺は首を傾げる。
「保先輩に出会ってからずっと、俺は投了しっぱなしなんですよ」
修平はそう言って、笑った。
~投了するまで、後少し【完】~
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