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第14話 新しい扉  **

熱くて柔らかいものが、俺の穴に差し入れられる。 恥ずかしくてたまらないのに、飾音の行為を止められない。 俺が、この先を期待してしまっているからだ。 にゅぶ、にゅぶ、ぐちゅ、といやらしい水音が絶え間なく響いて、耳から脳を溶かす。 やがて舌が抜かれて、じゅぼ♡ と今度は二本の長い指が差し込まれる。 「ひっ……ふ、ぅう……ッッ♡♡」 「気持ちイイね、彬良。エロい穴、全部見えてるよ」 「うう~~っっ」 俺は眦に涙を滲ませながら、シーツに顔を埋めて首を左右に振った。 「俺の指、美味そうに食べてる」 飾音は俺の恥ずかしい穴を指で開いたり閉じたりしながら、その周りを舌で舐めた。 くん、と指先が少し角度をつけて曲げられて、そのまま探るようにゆっくりと腸壁をなぞられる。 「あ……っっ♡♡」 そして指先がを押した時、俺はビクン、と全身を震わせた。 腰が抜けそうな、変な感じ。 「ああ、やっぱりここだね」 「そこ、びりびり、する……ぅッ」 風呂場でも同じところで同じ反応をしてしまったなと思いながら、俺は飾音の手を払おうとする。 飾音はそんな俺を安心させるかのように、払おうとする俺の手を恋人繋ぎで握った。 「今度は危なくないから、続けるよ」 「えっ……やだ、なんかそこ、変だから……っ、あ、あぅッッ♡」 「ここ押すたび、彬良のアナルがきゅうきゅうって締め付けてくる。ここが彬良のイイところだからね、一人でアナニーする時にきちんとここを刺激するんだよ」 「え? ……ああッッ♡」 そこを何度も押された俺は、腰が砕けてベッドにうつぶせになってしまった。 それでも飾音は俺が足を閉じることを許さず、「このままでいいから、感じて」と言いながら何度もじゅぼじゅぼとそこを可愛がる。 射精感とは違った何かが、下半身に蓄積していくという初めての感覚が怖い。 俺はまともに力の入らない身体を懸命に動かして、飾音から距離を取ろうとした。 「ほら、逃げない」 「あ、は、ひぐぅ♡♡」 俺の抵抗もむなしく、ぐっと飾音に足を押さえられ、更に激しくお尻の穴を掻き混ぜられる。 掻き混ぜられているのはお尻なのに、同時に脳ミソも搔き混ぜられているような、何がなんだかわからなくなるような感覚が俺を襲った。 「待って、飾音ぇ♡ へん……♡ 変だからぁ、そこ……っっ♡♡」 「変じゃなくて、気持ちイイの間違いだよ」 容赦なく飾音は俺を犯していく。 ああ、堪らなく、イイ。 「飾音、かざねぇ……♡♡」 「可愛いね、彬良」 俺はその日、尻の穴で気持ち良くなる、ということを覚えてしまった。 *** ピンポーン、とチャイムの音で目が覚める。 慌てて上体を起こして、ここが飾音の家であることを思い出した。 チャイムの理由はどうやら宅急便だったらしく、飾音は段ボールを抱えて戻って来る。 「彬良、おはよう」 「……おはよう、飾音」 飾音は朝から爽やかな声で俺に声を掛けたが、俺は自分だけが素っ裸なままであることに気付いて布団の中に再び潜り込んだ。 「彬良。今、朝食準備したところだけど、もう少し寝る?」 「んー……今、何時?」 「ええとね、十時」 随分と明るい時間まで熟睡していたことに驚きながら、俺は顔だけ布団の中から出した。 「起きる。ごめん、俺が起きるまで待ってた?」 「いや、問題ないよ。色々やることあったし」 「そっか、なら良かった」 「彬良、先にシャワー浴びておいで」 「ん」 俺は飾音が投げてよこしたトレーナーをキャッチし、筋肉痛でギシギシと軋む身体に鞭打つと風呂場へと向かう。 昨日散々飾音に舐め回されたことを思い出して入念に身体を洗い流したが、折角つけてくれた飾音のマーキングを落とすようで少し寂しい気がした。 「さっぱりしたわ、ありがと」 「じゃあ朝ごはん食べようか」 「うん」 二人で軽い食事を摂りながら、飾音が「ああそうだ」と話し出す。 「俺、これから仕事でしばらく九州に行ってくるから」 「へ?」 唐突に言われ、俺は目を瞬く。 「だから、三カ月くらい会えないし離れるけど、浮気しないでよ」 「しねーよ」 「毎日電話するから」 「……ん」 飾音とは毎日馬鹿なやり取りで連絡を取り合っているが、電話はほとんどしない。 明らかに変化した関係性を頭の中でどう処理すればいいのかわからず、俺は俯く。 そもそも、浮気ってなんだ。 飾音には本命がいるんだから、むしろ俺の相手をするほうが浮気なんじゃないかと思うんだけど。 そう考えて、何故か胸がチクリと痛んだ。 「寂しい?」 「……んー……どうだろ」 そこは寂しいって言ってよ、と冗談交じりに笑う飾音。 「それで、彬良にはその三カ月の間にやっておいて貰うことがあるんだけど」 「へ?」 牛乳を飲みながら、飾音に目を向ける。 飾音はにっこりと笑うと、先ほど届いた段ボールを指差した。

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