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第22話 トモダチじゃない *

童貞を捨てた時ですら、こんなに緊張しなかったかもしれない。 そう感じるほど、口から心臓が飛び出してしまいそうだ。 飾音を喜ばせようとして、思い切って購入したはいいけど今さら怖気づいてしまう。 電気を消した俺はタオルで身体を隠しつつ、そそくさと飾音のベッドに潜り込んだ。 「彬良、どうした?」 「やっぱり、恥ずかしい」 「あーきら?」 飾音はネコとじゃれる時のような甘い声で、そっと布団を持ち上げて俺の顔と対面する。 「……個人的には頑張ったから、笑わないで欲しいんだけど」 「うん? わかった、笑わない」 俺がお願いすれば、飾音はいつものポーカーフェイスでこくりと頷いた。 なんのことかわかっていないはずなのに、飾音の真剣そうな返事に俺は勇気づけられる。 「……これ」 布団からは出ずに、もそ、と上体を持ち上げて、それを飾音に見せた。 飾音は俺の姿を目にすると、目をほんの少し見開く。 相変わらず無表情だけど、恐らくとっても動揺している。 「俺のために、着てくれたの?」 飾音の言葉に、おれは頷いた。 「可愛い下着だね、よく似合ってる」 「……飾音がこういうの、好きなのかなって思って」 俺が羞恥心に苛まれながらも用意したのは、サテンのティーバックのフリルパンツだ。 飾音が以前送ってくれた黒レースのパンツを穿いていこうかと思ったのだが、やっぱり驚かせたくて、初めての今日は自分で新調したパンツを穿くことにした。 風呂は別々がいいと言った理由も、この下着をサプライズで見せるためだ。 「ありがとう。彬良の気持ちが嬉しい」 「……ん」 「もう元気になってるね」 飾音が手を近づけて、生地の上からもっこりとした先端をカリカリ♡ と指先で優しく引っ掻く。 「んん♡♡」 「期待で濡れる。今日は三カ月我慢した分、たくさん射精()させてあげるからね」 「うん、お願い、します……」 「今から俺は、彬良のトモダチじゃないからね」 少し拗ねたように言われ、俺は思わずふっと笑ってしまった。 居酒屋でのやり取りをまだ持ち出してくるのか。 でも飾音の言う通り、単なるトモダチだったらテレセなんてしないだろう。 「あ、笑ったな? もう、彬良がおねだりするまで、してあげないよ?」 「ごめんごめん」 俺は慌てて、こほん、と咳ばらいをする。 「……お願い、飾音。俺のご主人様に、なって?」 改めて言えば、飾音は意地が悪そうに口角を持ち上げた。 他の人が見れば、笑ったように見えたかもしれない。 「ん。なにか要望あるなら、まだ理性が残っている今のうちに聞いておくけど」 「ええと……少し強めにちんこを苛めたり、お尻叩いたり、冷たい言葉で罵ったり、焦らしたりして欲しい」 「はは、わかった。結構強めに苛められたいんだな」 「あと、飾音のを咥えてみたい」 「……え!?」 飾音がポーカーフェイスのまま目を瞬く。 「その、この前、イラマとかされるのかなって期待したから」 「マジか……そこまでしてもいいのか……」 俺の暴露に、飾音が口元を手で押さえた。 流石に引かれたのだろうかと、俺は不安になる。 「あ、勿論嫌なら無理にとは言わないけど……」 「いや、違う、逆。嬉しすぎて顔がにやけそう」 全くにやけていない真剣そうな顔で、飾音が顔の前で手をパタパタと振った。 「じゃあ、早速はじめようか。こっちも二人の時でしか使い道のない道具を揃えておいたんだ。装着してもいい?」 「はい……」 飾音は、じゃあまずこれね、と言って俺に目隠しをする。 視界が真っ暗になって、どきどきが激しくなった。 目が見えない分、飾音の香りや肌に触れられる感触、それに衣擦れの音までがより鮮明に感じた。 「縛るよ」 飾音はそう言いながら、俺の両腕を後ろに回させる。 そしてそのまま、何やら拘束具らしきもので縛られた。 次いで背中に感じていた布団が気配を消し、何も置かれていない状態のベッドの上に、寝転がされる。 「背中と腕、どっちも痛くない?」 「大丈夫、です」 「ん」 飾音は俺の右足の膝を縄のようなもので縛り、同じく左足にも似たようなことをした。 「あっ」 ぐん、と引っ張られたかと思うと、足が閉じられないように膝を左右に広げられて、開脚させられる。 「彬良……今日は沢山感じさせて、俺に支配されることを悦ぶ身体にするからな」 「……っ♡」 飾音の低い声に、ずくん、とペニスが更に持ち上がり、アナルがひくりと反応した。 「俺から離れられないように、躾けてやるから……」 「……はい♡」 飾音の指が、つう、と俺の乳輪をくるくると優しく撫でる。 この三カ月でチクニ―をしまくっていた俺の感度は三カ月前とは雲泥の差で、ただそれだけでぷっくりと勃ち上がってその先の快感を浅ましく強請った。 「美味しそうでいやらしい乳首になったね。ここだけでもイけるように、これからたっぷり可愛がってあげる」 「ありがとう、ございま、ひぃん♡」 べろり、と勃起した乳首を舌で舐められ、俺はビクッと肩を揺らす。 視界がないからか、余計な情報が入ってこない分、過敏に反応してしまう。 他人に乳首を弄られるって、こんなに気持ちが良いことだったんだ。 「ああ……ッッ♡♡」 ちゅうう♡ と強く吸われて、俺は悶える。 今なら、そのうち乳首で達することが出来ると言われても、信じることが出来た。

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